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投資戦略ウィークリー 2023年9月4日号” 日銀審議委員コメントと地銀株見直し、中国景気指標”
■“日銀審議委員コメントと地銀株見直し、中国景気指標” 米国では米FRB(連邦準備制度理事会)の関係者が多様な発言を、FOMC(連邦公開市場委員会)が近づいた一定期間(ブラックアウト期間)を除いて活発に行う。両極端な意見が示されることも多い。市場参加者の見方が偏らないようにすることに役立っていると言えるだろう。最近は日銀もFRBに近付いてきたのだろうか。 日銀の田村審議委員は8/30、物価2%目標の持続的・安定的実現が見通せる状況になれば「マイナス金利の解除も選択肢の1つに入る」と述べ、政策修正の判断時期については「来年1~3月頃」、物価2%目標について「はっきりと視界にとらえられる状況になった」と踏み込んだ発言を行った。これに対し、中村審議委員は8/31、2%の物価目標を巡り「達成に確信を持てる状況には至っていない」との認識を明らかにした。同委員は日銀による7月の長短金利操作の運用柔軟化に反対票を投じていた。 植田総裁の下、長期金利が市場の需給で決まりやすくなり、同時に、中央銀行政策決定会合の発言権者のキャラが立って市場参加者に注目されるようになった面もあるだろう。そして、既に現時点で田村審議委員のようにマイナス金利解除も意外と近いのかもしれないと考える当事者もいるということ自体が、特に銀行株投資を無視できないことを示唆している面もあるだろう。 投資戦略ウィークリー2023年6月26日号の2ページ目「実需が動く地域の地銀グループ」で、半導体受託製造の台湾TSMCが工場を建設中の熊本県では、九州フィナンシャルG(7180)、半導体メモリー世界首位の米マイクロン・テクノロジーが工場増設予定の広島県では、ひろぎんHDS(7337)、最先端半導体の国産化を目指す北海道では、ほくほくフィナンシャルG(8337)の株価の年初来騰落率がメガバンクや総資産地銀上位行を上回ることを示した。他方、8月末終値の2015年の高値に対する比較では、メガバンク3グループはみずほフィナンシャルG(8411)を除いて上回っているのに対し、九州フィナンシャルGは約25%、ほくほくフィナンシャルGは約58%下落した株価水準にある。 中国リスクに関しては、国家統計局が8/31発表の8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は7と5ヶ月連続で拡大・縮小の境目となる50を下回ったものの、生産や新規受注は50を上回るなどセンチメントの最悪期を脱しつつある面も示した。財新・S&Pグローバルが9/1発表の8月の中国製造業PMI(主に中小企業を対象)も51.0と、2ヵ月ぶりに50を上回るなど回復の兆しを示唆している。中国経済リスク顕在化は人民元防衛のための米国債売りにも繋がりかねず、米バイデン政権も見過ごせない問題だろう。(笹木) 9/4号では、亀田製菓(2220) 、クラレ(3405) 、日本製紙(3863) 、ほくほくフィナンシャルグループ(8377) 、CPオール(CPALL)を取り上げた。 ■主な企業決算の予定 9月4日(月): 日本ハウスホールディングス、ファースト住建、ティーライフ 9月5日(火):泉州電業、不二電機工業、ロック・フィールド、フジ・コーポレーショ 9月6日(水):東京楽天地 9月7日(木): トップカルチャー、スバル興業、積水ハウス、アイモバイル、ビューティガレージ、Casa 9月8日(金):gumi、HEROZ、アイル、アルトナー、エイチーム、オハラ、カナモト、クミアイ化学工業、シーイーシー、トビラシステムズ、フリービット、ベステラ、ポールトゥウィンホールディン、ミライアル、日本駐車場開発 ■主要イベントの予定 9月4日(月) ・マネタリーベース月末残高 (8月)、日銀営業毎旬報告、国内ユニクロ売上高(8月) ・レーバーデーの祝日で米株式・債券市場休場、ASEAN首脳会議・関連会合(ジャカルタ、2-7日)。関連首脳会議は5-7日、独国際モーターショー「IAAモビリティ2023」のプレスデー(一般公開は5-10日、ドイツ・ミュンヘン)、アフリカ気候サミット(ACS)(ナイロビ、6日まで) 9月5日(火) ・auじぶん銀行日本サービス業・複合PMI (8月)、家計支出(7月) ・第78回国連総会開幕(ニューヨーク)・19日から一般討論演説、ASEAN首脳会議(ジャカルタ)、豪中銀が政策金利発表 ・米製造業受注 (7月)、S&PグローバルHCOBユーロ圏総合・サービス業PMI(8月)、ユーロ圏PPI(7月)、中国財新コンポジット・サービス業PMI(8月)、南アGDP(2Q)、韓国GDP(2Q) 9月6日(水) ・日銀の高田審議委員が下関市内で講演・記者会見、トヨタ新車発表会 ・米ボストン連銀総裁講演、米ダラス連銀総裁イベント参加、米地区連銀経済報告(ベージュブック)公表、米トランプ前大統領ジョージア州での起訴で罪状認否手続き、カナダ中銀が政策金利発表、日・ASEAN首脳会議(ジャカルタ)、ASEAN+3(日中韓)首脳会議(ジャカルタ)、ブルームバーグCEOフォーラム(ジャカルタ) ・米貿易収支 (7月)、米ISM非製造業総合景況指数(8月)、S&Pグローバル米サービス業・総合PMI(8月)、ユーロ圏小売売上高(前月比) (7月)、独製造業受注 (7月)、豪GDP(2Q) 9月7日(木) ・日銀の中川審議委員が高知市内で講演・記者会見、ジャニーズ事務所の記者会見、対外・対内証券投資(8月27日-9月2日)、東京オフィス空室率(8月)、景気一致指数・景気先行CI指数(7月) ・米フィラデルフィア連銀総裁講演、米ニューヨーク連銀総裁イベントに参加、米アトランタ連銀総裁講演、米アトランタ連銀総裁イベントで講演、マレーシア中銀が政策金利発表、カナダトロント国際映画祭(17日まで) ・米新規失業保険申請件数(2日終了週)、米労働生産性(2Q)、ユーロ圏GDP(2Q)、独鉱工業生産(7月)、中国貿易収支(8月)、中国外貨準備高(8月) 9月8日(金) ・毎月勤労統計-現金給与総額(7月)、GDP(4-6月改定)、国際収支:経常収支(7月)、貸出動向(8月)、景気ウォッチャー調査 先行き判断・ 現状判断(8月) ・米卸売在庫(7月)、米消費者信用残高(7月)、米家計純資産変化(2Q)、独CPI(8月)、ロシアGDP(2Q) 9月9-10日(土–日) ・G20首脳会議(ニューデリー、10日まで、モルディブ大統領選、北朝鮮建国75年、中国CPI(8月)、中国PPI(8月)、中国経済全体のファイナンス規模・新規融資・マネーサプライ (8月、15日までに発表)、米大統領がベトナム訪問、インド太平洋経済枠組み(IPEF)首席交渉官会合(バンコク、16日まで)、ユネスコ世界遺産委員会(サウジアラビア・リヤド、25日まで)、 東方経済フォーラム(ロシア・ウラジオストク、13日まで)、ロシア地方選 (Bloombergをもとにフィリップ証券作成) ※本レポートは当社が取り扱っていない銘柄を含んでいます。 ■大統領選サイクル3年目の米国株 米国株市場には、大統領選挙のサイクル(4年周期)との間に相関関係があるという「アノマリー」(理論的根拠があるわけではないが経験則上よく当たるとされる考え方)の存在が指摘される。選挙に伴い支持率を意識した政策が出されることなどが影響し、米中間選挙の年は安く、大統領選挙の年に向かって上昇するとされる。 21世紀に入って以降の大統領選サイクル3年目の株価推移を年初来ベースで見ると、2019年が最も好調で2023年も6-8月はほぼ同年をトレースしている。他方、サブプライム・ローンに係る「パリバ・ショック」の2007年、米国債格下げの2011年、「チャイナ・ショック」の2015年は夏~秋以降に相場が崩れている。商業不動産ローン債権、米国債格下げ、中国といった各々のリスクは現在の潜在的リスクでもある。 【大統領選サイクル3年目の米国株~足元は、絶好調だった4年前をトレース】 ■中国製造業PMIに一部改善の兆し 中国国家統計局が31日発表した8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.7と前月より0.4ポイント上昇も5ヶ月連続で拡大・縮小の境目の50を下回った。雇用環境、および欧米の金融引締めが響いている新規輸出受注は低迷が続いているものの、生産が前月比1.7ポイント上昇の51.9,生産者物価が6ヵ月ぶりに50超え(52.0)へ、新規受注も5か月ぶりに50超え(50.2)と回復を示した。 中国当局は大型刺激策への慎重姿勢を崩していないものの、ここ数週間で消費財の製造や自動車販売を拡大する計画など的を絞った支援策を打ち出している。これによって製造業の購買担当者らのセンチメントは最悪期を脱しつつある面もある。外需に伴う新規輸出受注の50超えによる後押しが更に必要だろう。 【中国製造業PMIに一部改善の兆し~新規受注・生産・生産者物価が改善】 ■日本株グロース投資の本命指数 東証株価指数(TOPIX)で時価総額上位500社を除く銘柄で構成する「TOPIXスモール指数」の終値が31日、1998年4月の算出開始以来の最高値を更新中だ。中国不動産大手企業の経営危機などを背景に外部環境の不透明感が強まる中で外需株を積極的に手掛けづらいことから、個人投資家を中心に内需かつ値動きが軽い小型株に資金が移行しているという見方がされているようだ。 親興企業中心に内需小型・グロース企業中心に構成される東証マザーズ指数は、岸田政権発足後の21年12月頃より急落。現在も低迷が続き、内需・グロースへの投資の受け皿となりにくい。また、TOPIXスモールの対TOPIX500への優位性として相場のアノマリー(経験則)の一種である「小型株効果」も考慮されよう。 【日本株グロース投資の本命指数~東証マザースよりTOPIXスモール指数か】 ■銘柄ピックアップ 亀田製菓(2220) 4485 円(9/1終値) ・1957年に新潟県中蒲原郡亀田町で設立。菓子の製造販売を主な事業内容とし、国内米菓事業、海外事業、食品事業、および貨物運送等のその他事業を営む。せんべいなど米菓で国内首位。 ・8/4発表の2024/3期1Q(4-6月)は、売上高が前年同期比4.6%減の222.22億円、営業利益が同44.0%減の6.99億円。前年同期の同業他社(三幸製菓)の工場火災に伴う代替需要の反動減のほか、長期保存食も前年同期に地震等の影響で高まった個人による消費も反動減の影響を受けた。 ・通期会社計画は、売上高が前期比2.6%増の975億円、営業利益が同26.2%増の45億円、年間配当が同1円増配の56円。同社グループは8/28、「中長期成長戦略2030」を発表。ジュネジャCEOの下、国内米菓事業のみならず、海外事業や食品事業への先行投資や技術移転により展開国と事業領域拡大の中で国内外の提携活用でアセットライト・高収益事業モデルを目指すとしている。 クラレ(3405) 1689.5 円(9/1終値) 1926年に岡山県倉敷市で大原孫三郎(大原美術館の創設者)を社長として倉敷絹織(ケンショク)を設立。ビニルアセテート、イソブレン、機能材料、繊維、トレーディング、その他6事業部門を営む。 ・8/9発表の2023/12期1H(1‐6月)は、売上高が前年同期比6.4%増の3809.98億円、営業利益が同7.6%増の409.70億円。売上構成比52%のビニルアセテートは売上高が同7%増、営業利益が同20%増と堅調のほか、活性炭等環境ソリューション含む機能材料が同20%増収、74%営業増益。 ・通期会社計画は、売上高が前期比7.1%増の8100億円、営業利益が同3.6%減の840億円。年間配当を上方修正。同6円増配の50円(従来計画:48円)とした。岐阜県各務原市で水源地から国の暫定目標値を超える有機フッ素化合物(PFAS)を検出。市は水源地に活性炭を使った除去システム導入を発表した。ディールラボ社によれば同社は2020年の活性炭世界シェアが約20%の首位。 日本製紙(3863) 1308 円 (9/1終値) ・1949年に旧王子製紙の第2会社(十條製紙)を継承。紙・板紙事業、生活関連事業、エネルギー事業、木材・建材・土木建設関連事業を主な事業とする。スコッティ、クリネックスの家庭紙で有名。 ・8/7発表の2024/3期1Q(4-6月)は、売上高が前年同期比8.6%増の2874.24億円、営業利益が前年同期の▲29.24億円から8.12億円へ黒字転換。各種製品の価格引上げ寄与により増収。原価改善や固定費削減により営業黒字化。グラフィック洋紙事業撤退に係る特別損失計上で最終赤字。 ・通期会社計画は、売上高が前期比6.7%増の1兆2300億円、営業利益が前期の▲268.55億円から240億円へ黒字転換。同社は8/30、東京都北区王子の商業施設の土地と建物を売却し、24年3月期の特別利益に固定資産売却益約254億円計上と発表。業績改善に加え、非中核事業資産の現金化に伴う純有利子負債額減少による財務健全化もPBR(株価純資産倍率)上昇に寄与しよう。 ほくほくフィナンシャルグループ(8377) 1331. 5 円 (9/1終値) ・2003年に北陸銀行(富山県)と北海道銀行の経営統合により設立。北海道、北陸3県を中心に広域地域金融グループを形成。銀行業務ほか証券・リース・クレジットカードからソフトウェア開発等まで展開。 ・7/31発表の2024/3期1Q(4-6月)の2行合算ベースは以下の通り。コア業務粗利益が役務取引等利益増も外貨調達費用増に伴う資金利益減少が響き、前年同期比12.8%減の279.93億円。コア業務純益は同31.0%減の89.83億円。国債等債券損失や与信費用減少も、経常利益は同18.8%減。 ・通期会社計画(連結ベース)は、経常利益が前期比1.5%減の260億円、当期利益が同20.7%減の170億円、年間配当が同横ばいの37円。5%賃上げやシステム関連経費増が減益主要因。最先端半導体製造を目指すラピダスが今年9月に北海道千歳市で工場着工予定。更に北海道は不動産も訪日外国人から人気。新幹線延伸で金沢・敦賀24年開業のほか函館・札幌も30年開業目標。 CPオール(CPALL) 市場:タイ 65.5 THB(8/31終値) ・1988年にタイ最大財閥チャルーン・ポーカパン・グループにより設立。セブンイレブン運営のコンビニ事業のほか「Siam Marko」のキャッシュ&キャリー事業、スーパー「ロータス」の小売・モール賃貸事業を営む。 ・8/10発表の2023/12期2Q(4-6月)は、売上高が前年同期比8.5%増の2320億THB、純利益が同47.7%増の44.38億THB。2020年末に英テスコから買収したロータスが増収に貢献したほか1日当たり延べ来店客数増に伴い既存店売上高が同8%増。6月末店舗数も同6%増の1万4215店へ拡大。 ・1-6月のセグメント別ではコンビニ事業とキャッシュ&キャリー事業が前年同期比で増収増益と堅調なのに対し、ロータスは増収・減益。オンラインとオフラインの両プラットフォーム強化による相乗効果で改善が期待されよう。また、成長エンジンと捉える海外進出は、カンボジアの6月末店舗数が66店(3月末比12店増)で23年末目標100店舗に向けて進捗。ラオスにも年内1号店出店計画である。 ■アセアン株式ウィークリーストラテジー (9/4号「シンガポールは競馬場を閉鎖して再開発」) シンガポールは人口が2021年で550万人に対し、面積が約720平方キロメートルと東京23区を上回るにとどまる。そのようななかで、先日、シンガポールの競馬場が住宅地などに再開発する目的で来年10月のレースを最後に閉鎖するというニュースが報道された。シンガポール競馬場はイギリスの植民地時代から約180年の歴史があり、国際G1のシンガポール航空国際カップは日本でも知られていた。土地が狭い中で政府は出生率の引き上げや外国籍の専門的人材に国籍を開放することによって、2030年までに650~690万人まで人口を増やすという計画がある。そのためには住宅が必要で、人口と住宅が増えれば娯楽や商業施設も必要となるだろう。シンガポールは不動産の価値上昇とともに通貨も買われやすい構造的な側面もあると言えるだろう。
投資戦略ウィークリー 2023年8月28日号 ”全体相場に一服感も、多くの投資チャンスあり”
■“全体相場に一服感も、多くの投資チャンスあり” 「夏枯れ相場」なのだろうか。17日まで15営業日連続で3兆円を超えていた東証の売買代金が18日以降連続して2兆円台にとどまっている。日経平均株価は、17日と18日に3万1300円近辺の下値を試して底堅かったことから週明け21日以降に反発したものの、薄商いの中で3万2000円近辺を中心とした「平均回帰」への動きにとどまった。米国市場で現地23日、半導体エヌビディア(NVDA)の決算発表を受けて時間外取引で大幅高となったものの、24日の取引時間で時間外取引の上昇をほぼ帳消しにしてしまった。グローバルでも相場上伸力の限界を感じさせる。 日本株市場に目を転じれば、銀行株は米国で格付け機関が米地銀格下げを行っても日米長期金利が低下しても、連れ安せずに堅調に推移。また、米国の住宅着工や新築住宅販売の伸びを受けて住宅建設や小型建設機械に関連した銘柄も堅調だ。エヌビディアに関連する半導体関連銘柄の株価動向には注意が必要なものの、生成AI(人工知能)に係る画像処理半導体(GPU)の需要の高まりに不安はない。生成AIは「ChatGPT」のようなテキスト型から画像や音声へと益々領域が拡大する兆しも見え始めている。 当ウィークリー2023年5月29日号「AI関連株のChatGPT開始後株価」で取り上げたディジタルメディアプロフェッショナル(3652)、ユーザーローカル(3984)、パークシャ・テクノロジー(3993)、ソリトンシステムズ(3040)も再注目の余地があろう。デジタル庁も24年度予算の概算要求で政府情報システム整備・運用経費として前年度比18%増の5670億円を求めた。さくらインターネット(3778)やインターネットイニシアティブ(3774)は経済安全保障の観点で「国産クラウド」として期待が集まろう。 東京電力福島原発の事故から12年を経て原発処理水の放出が24日に始まった。これを受けて中国は日本産の水産物輸入を全面的に停止すると発表。日本の水産業者や中国で日本産品を扱う小売・飲食店には打撃となるものの、その分、本場の寿司を食べたい外国人の訪日観光の増加とインバウンド消費増加に繋がる側面も考えられる。同じようなことは日本の不動産投資でも当てはまる。中国不動産不況が長期化すれば中国の人たちが日本の不動産への関心をより高め、旅行のついでに物色するかもしれない。 末期がんや難病の患者らに特化した介護施設「ホスピス型住宅」が急増。アンビスHD(7071)、日本ホスピスHD(7061)、シーユーシー(9158)など上場企業も出てきた。政府は医療財政がひっ迫するなか、費用が嵩みがちな入院医療から在宅ケアを推進。その一方、「看取り」の受け皿が不足しているのが現状だ。(笹木) 8/28号では、ベステラ(1433) 、ディジタルメディアプロフェッショナル(3652) 、アンビスホールディングス(7071) 、日本電信電話(9432) 、インド・セメント・トゥンガル・プラカルサ(INTP)を取り上げた。 ■主な企業決算の予定 8月28日(月):ダイドーグループホールディングス 8月29日(火):(米)PDDホールディングス 8月30日(水):(米)セールスフォース、クラウドストライク・ホールディングス 8月31日(木):菱洋エレクトロ、ラクーンホールディングス、ACCESS、内田洋行、トリケミカル研究所、(米)ブロードコム、ルルレモン・アスレティカ ■主要イベントの予定 8月28日(月) ・公明党の山口代表が中国を訪問(30日まで)、景気一致指数・景気先行CI指数(6月)、月例経済報告(8月) ・全米オープンテニス開幕(ニューヨーク、9月10日まで)、英休場 ・米ダラス連銀製造業景況指数(8月)、ユーロ圏マネーサプライ (7月) 8月29日(火) ・完全失業率 (7月)、有効求人倍率(7月) ・米大統領がコスタリカ大統領と会談(ホワイトハウス)、米連邦預金保険公社が銀行に長期債発行を義務付ける計画発表、EU国防相会合(非公式)(スペイン・トレド、30日まで)、アフリカ・シンガポール・ビジネス・フォーラム(ASBF)(シンガポール、31日まで) ・米主要20都市住宅価格指数(6月)、米FHFA住宅価格指数(6月)、米求人件数(7月)、米消費者信頼感指数(8月) 8月30日(水) ・インバウンドプラットフォームが東証グロースに新規上場、日銀の田村審議委員が釧路市内で講演・記者会見、消費者態度指数(8月) ・米ADP雇用統計(8月)、米GDP(2Q)、米中古住宅販売成約指数(7月)、欧州新車販売台数(7月)、ユーロ圏消費者信頼感指数(8月)、ユーロ圏景況感指数(8月)、独CPI(8月) 8月31日(木) ・日銀の中村審議委員が岐阜市内で講演・記者会見、鉱工業生産(7月)、小売売上高(7月)、百貨店・スーパー売上高(7月)、対外・対内証券投資(8月20-26日)、住宅着工件数・戸数 (7月) ・米アトランタ連銀総裁が講演・パネル討論会に参加(南ア)、米ボストン連銀総裁・コミュニティーカレッジについて講演、ECB議事要旨(7月分)、EU外相会合(非公式、スペイン・トレド)、ローマ教皇がモンゴル訪問(9月4日まで) ・米個人支出・米個人所得 (7月)、米PCE価格指数(7月)、米新規失業保険申請件数 (8月26日終了週)、米シカゴ製造業景況指数(8月)、ユーロ圏CPI (8月)、ユーロ圏失業率(7月)、独失業率(8月)、中国製造業・非製造業PMI (8月)、印GDP(2Q) 9月1日(金) ・法人企業統計(4-6月)、auじぶん銀行日本製造業PMI(8月) ・米アトランタ連銀総裁、米金融政策に関するパネル討論会に参加(南ア)、米クリーブランド連銀総裁がインフレについて講演、米ウィーワークが40対1の株式併合実施、シンガポール大統領選挙、IFA/国際コンシューマ・エレクトロニクス展(ベルリン、5日まで) ・米雇用統計(8月)、米自動車販売(8月)、米S&Pグローバル米製造業PMI(8月)、米建設支出(7月)、米ISM製造業景況指数(8月)、ユーロ圏製造業PMI(8月)、中国財新製造業PMI(8月)、ブラジルGDP (2Q) (Bloombergをもとにフィリップ証券作成) ※本レポートは当社が取り扱っていない銘柄を含んでいます。 ■米長期金利は財政の影響強まる 米国の金融動向を見ると、長期平均期待インフレ率である10年ブレークイーブン・インフレ率が2%台前半で落ち着き、複数の主要通貨に対する米ドルの強さを表す「ドル指数」も昨年9月下旬からの低下基調が続いている。ところが、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利に相当する10年物価連動国債利回りは昨年9月下旬水準を超えて2%に近付いている。本来なら実質金利上昇を受けてドル指数は上昇すべきところ、そうなっていない。変調を来たしている可能性もある。 米国債増発に伴う財政への懸念がドル安要因に作用している可能性もあろう。国債への資金吸い上げが民間投資を阻害する「クラウディング・アウト」のほか度重なる政府閉鎖が格付け機関による米国債格下げを誘発することへの懸念もあろう。 【米長期金利は財政の影響強まる~実質金利上昇もドル指数は追随せず】 ■G20加盟国株価指数米ドル建比較 G20(金融・世界経済に関する首脳会合)サミット加盟国の主要株価指数の昨年来パフォーマンスを米ドル建て換算で見ると、特にアルゼンチンとトルコが際立つ。どちらも為替市場では通貨安。アルゼンチンは14日、政策金利を118%まで引き上げて通貨も切り下げた。トルコも7月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比47.8%上昇と伸びが加速し政策金利大幅引き上げが予想されている。市場から利上げが不十分とされ実質金利は大幅マイナスだ。ハイパーインフレの代償として株価上昇を享受している格好だ。 中南米のブラジルとメキシコは、対照的に早くから金融引締めを進めてきたなか、資源や穀物の輸出などで堅調な商品相場の恩恵を受けてきたほか米国に近い地の利を生かした面もあろう。 【G20加盟国株価指数米ドル建比較~ハイパーインフレ2国が株価も2強】 ■高齢化で死亡数増・死亡率上昇 厚生労働省によると2022年の国内死亡数は156万8961人で前年比12万9105人増と過去最高を更新。死亡数の9割は70歳以上高齢者であり、夫婦や親子だけで「看取り」を進めるのも限界がある。 その受け皿として期待されているのが介護や医療行為がいつでも受けられる住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)である「ホスピス型住宅」だ。入居者は末期状態のがん患者や国指定の難病患者など医療依存度の高い人に限定され、各施設は家賃・管理費のほか、提供した医療や介護サービスに対して医療保険報酬や介護保険報酬を得る。末期がんや人工呼吸器を使用している人は訪問看護であっても医療保険を適用できる特例もあり、事業者側の収益性が高い点に特徴がある。 【高齢化で死亡者数・死亡率上昇~景気動向に関わらず需要安定増の分野】 ■銘柄ピックアップ ベステラ(1433) 1120 円(8/25終値) ・1974年に名古屋市で創業のプラント解体工事専門業者。大型貯槽の切断解体方法に係る「リンゴ皮むき工法」、「風車の転倒工法」など脱炭素解体を実現の独自特許による解体工法を擁する。 ・6/9発表の2024/1期1Q(2-4月)は、売上高が前年同期比8.6%減の15.37億円、営業利益が前年同期1.96億円から▲35百万円へ赤字転落。新規の大型工事の受注が好調に推移した一方、受注工事の着工時期が2Q以降に集中見通しのほか、一部の低利益率工事が利益率を押し下げた。 ・通期会社計画は、売上高が前期比42.9%増の78億円、営業利益が前期▲2.15億円から5.10億円へ黒字転換、年間配当が同横ばいの20円。日立プラントコンストラクションとの業務提携を通じた国内原子力発電所の廃炉・解体、および脱炭素社会に向けて非効率かつ老朽化した石炭火力発電所の休廃止の潮流も追い風となろう。製鉄や化学業界なども設備高度化・工場再編が続こう。 ディジタルメディアプロフェッショナル(3652) 2600 円(8/25終値) ※東証グロース上場 ・2002年設立。グラフィックスIPコアを開発してゲーム機器、自動車、モバイル通信機器等に組み込まれる半導体IPコアを半導体・最終製品メーカーに提供するほか、LSI製品の製造・販売を行う。 ・8/9発表の2024/3期1Q(4‐6月)は、売上高が前年同期比80.3%増の6.99億円、営業利益が前年同期の▲89百万円から30百万円へ黒字転換。分野別売上高は、主力アミューズメントが次世代画像処理半導体「RS1」量産出荷で同90%増の6.3億円のほか、ロボティクスが同5.8倍の23百万円。 ・通期会社計画は、売上高が前期比12.0%増の26億円、営業利益が同5.5倍の1.50億円。同社は創業以来、画像処理や低消費電力IP、AI(人工知能)等に注力。生成AI「ChatGPT」は画像入力可能な「GTP4」のベータ版も登場。新しい画像処理AIシステムにより画像の中から様々なパターン抽出を行う「画像の知能化」が車載カメラ自動運転をはじめ、同社サービス高付加価値化に繋がろう。 アンビスホールディングス(7071) 2892 円 (8/25終値) ・2013年に三重県桑名市で設立。関東。東北中心に医療施設型ホスピス「医心館」を展開。訪問看護・訪問看護、居宅介護支援と有料老人ホームを総合展開。慢性期・終末期の看護ケアに特化。 ・8/9発表の2023/9期9M(10-6月)は、売上高が前年同期比40.2%増の229.99億円、営業利益が同40.4%増の61.76億円。6月末の施設数が同14施設増の70施設、定員数が同28%増の3446名。既存施設稼働率は安定稼働目安の82-85%を上回る86.6%。今年3月に東証プライムへ市場変更。 ・通期会社計画は、売上高が前期比33.0%増の306.82億円、営業利益が同28.4%増の78.72億円、年間配当(株式分割考慮後)が同横ばいの3円。その後は、24年9月末で101施設/定員4974名、25年9月末で127施設/定員6328名の計画。厚生労働省人口動態統計から2040年まで国内年間死亡とがん死亡数増が見込まれるなか、足元は病院死数と自宅死他数減、施設死数増の傾向。 日本電信電話(9432) 165.1 円 (8/25終値) ・1952年に政府全額出資で日本電信電話公社が発足し1985年に民営化。20年末にNTTドコモ完全子会社化。NTTデータG(9613)57.7%保有。NTT法により政府が発行済株式3分の1以上保有。 ・8/9発表の2024/3期1Q(4-6月)は、営業収益が前年同期比1.4%増の3兆1110億円、営業利益が同5.7%減の4746億円。地域通信事業の不振およびNTTデータとの海外事業統合に伴う負担で営業減益も保有するIIJ株の一部売却に伴う金融収益の寄与で同2.0%最終増益。NTTドコモは増収。 ・通期会社計画は、営業収益が前期比0.6%減の13兆600億円、営業利益が同6.6%増の1兆9500億円、年間配当(株式分割考慮後)が同0.2円増配の5.0円。政府が防衛費増額の閣議決定を受けてNTT株売却案を出すなか、会社側も技術開示義務やNTT東西によるユニバーサルサービス制度等規制の緩和の観点からNTT法改正を要望。自民党本部は年内に法改正の方向をまとめる方針。 インド・セメント・トゥンガル・プラカルサ(INTP) 市場:インドネシア 11,150 IDR(8/24終値) ・1975年創業。ドイツの大手セメントメーカーのハイデルベルクセメント傘下企業。セメント、生コンクリート、骨材採取の3事業を展開。主力のセメント事業はインドネシア個人顧客と住宅を対象とする。 ・7/31発表の2023/12期1H(1-6月)は、売上高が前年同期比15.3%増の7.97兆IDR、EBITDAが同62.6%増の1.49兆IDR、純利益が同2.4倍の6984億IDR。セメント販売量が同8.8%増と伸びたほかコスト増を販売価格引上げで吸収。粗利益率が同4.8ポイント、EBITDAマージンが同5.4ポイント上昇。 ・同社はサステイナビリティ(持続可能性)を重視。1Hは代替燃料の消費比率が前期(通期)比0.6ポイント低下の17.5%(25年目標:25%)も、平均ダスト排出量が同18%低下の11.3mg/㎥(同:10mg/㎥)、CO2排出量が同1.4%低下の579kg/トン(同:575kg/トン)と進捗。24年から首都機能の一部をカリマンタン東部ヌサンタラに移す予定。大統領宮殿や飲料水供給ダム等工事が急ピッチで進む。 ■アセアン株式ウィークリーストラテジー (8/28号「民意が反映されなかったタイ首相選出」) タイの国会が8/22、下院第2党でタクシン元首相派のタイ貢献党が推すセター氏を新首相に選出した。5/14に行われた下院総選挙で第1党となった革新系の前進党は排斥され、選挙で大敗した親軍政党との「大連立」で発足することとなった。総選挙後にタイ貢献党は前進党と組んで旧8野党で連合を結成。下院(定数500)の6割超の312議席を確保し、首相候補にピター前進党党首を立てていた。ところが、7月半ばの首相指名投票で上院(定数250)との合同投票で上下両院の過半数を確保できず、ピター氏は選出を阻まれた。 国軍が任命した上院議員は王室に対する不敬罪の改正を公約にした前進党に反発したことが背景にある。その後、タイ貢献党は前進党を見限り親軍派を含み新たな連合を結成。上院が首相指名に加わる制度は来年5月に期限切れの予定だ。
投資戦略ウィークリー 2023年8月21日号 ”日本株買いの上げ潮に変化なし”
■“日本株買いの上げ潮に変化なし” 日経平均株価は約2ヵ月前、1990年の3/12以来となる3万3700円台の高値を付けた。日本株を取り巻く熱狂的な上げ潮ムードはどこへ行ったのだろうか? 中国に関する大手不動産開発会社の経営リスクや長引く不動産不況やデフレ状況に伴う経済成長見通し引下げも相次ぐ。日経平均株価に関して権利行使価格3万円のプットオプション(売る権利)のポジションが膨らんでいるという報道も聞かれる。市場は9/8の先物・オプションの最終決済に係る特別清算値(SQ値)算出「メジャーSQ」に向けて3万円を下回るリスクに備え始めたということだろう。当ウィークリー2023年8月7日号に記載の通り、昨年まで過去30年間の月間騰落率で8月と9月の平均値は他の月と比較して特に低いという季節性のせいなのか?あるいは、日本株への買いは一時的ブームに過ぎないのだろうか?。 15日に2023年4-6月期の国内総生産(GDP)速報値が発表された。前期比年率換算で0%増の高い伸びとなる中で注目されたのは、名目GDPを実質GDPで割って算出される「GDPデフレーター」が+3.4%と、2015年1-3月の+3.3%を超え、1995年以降では最大となった。この背景にあるのは、消費者物価や設備投資を含む国内価格の上昇に加え、原油などエネルギー価格高騰の反動により日本の交易条件(輸出財1単位当たりで購入できる輸入財の量)の改善である。GDPデフレーターの高い伸びが続いて名目ベースの高水準のGDP成長が続けば、自ずと賃金の増加率も高まるほか政府の税収も増えてくる。名目GDPの増加が加速すれば、株式時価総額の名目GDPに対する割合である「バフェット指数」からも日本株がより割安と見られる可能性もあるだろう。 上場企業の2023年4-6月期決算が一巡し、全36業種中24業種で最終損益が前年同期比で改善。電力は6月実施の家庭向け料金値上げ、および燃料価格下落の電気料金への反映遅れが改善に寄与。世界的金利上昇で海外融資の利ざや拡大の銀行、新型コロナ5類移行の追い風を受けたレジャー関連(鉄道・バス、空運など)、半導体供給不足の緩和で生産が回復した自動車、値上げが浸透した機械や紙・パルプも好業績となった。他方、化学や非鉄金属、鉄鋼は中国景気の回復遅れの影響を受けて減益。商社や海運は前年同期における歴史的好業績の反動減が出た。全体として日経平均株価の構成銘柄に係る時価総額等で加重平均した1株あたり純資産(BPS)は足元で2万5000円近辺に到達。東証が中心となって取組む低PBR(株価純資産倍率)の改善度合い次第で更なる高値をうかがうことは十分に可能だろう。(笹木) 8/21号では、土屋ホールディングス(1840) 、エア・ウォーター(4088) 、日本板硝子(5202) 、レオパレス21(8848) 、ウィルマー・インターナショナル(WIL)を取り上げた。 ■主な企業決算の予定 8月21日(月):(米) ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ 8月22日(火):(米)ロウズ、メドトロニック 8月23日(水):(米) エヌビディア、オートデスク、アナログ・デバイセズ 8月24日(木):(米)ワークデイ、インテュイット、マーベル・テクノロジー、ダラー・ツリー 8月25日(金):タカショー ■主要イベントの予定 8月21日(月) ・コンビニエンスストア統計(7月) ・米バイデン大統領がハワイ・マウイ島を訪問、米トランプ前大統領は記者会見(ニュージャージー州)、米カンザスシティー連銀総裁にジェフリー・R・シュミッド氏が就任、中国1年・5年物ローンプライムレート(LPR) ・タイGDP(2Q) 8月22日(火) ・スーパーマーケット販売統計(7月)、日銀営業毎旬報告(8月20日現在)、日銀の基調的なインフレ率を捕捉するための指標 ・米シカゴ連銀総裁がイベントで開会の挨拶、BRICS首脳会議(ヨハネスブルク、24日まで)、 中国の習主席が南アフリカのラマポーザ大統領と会談(プレトリア)、カンボジアのフン・マネット新首相が就任、タイ議会で首相指名選挙 ・米中古住宅販売件数 (7月) 8月23日(水) ・auじぶん銀行日本製造業PMI・複合PMI・サービス業PMI(8月)、ブルームバーグ日本経済調査(8月)、工作機械受注(7月) ・米20年債入札、米共和党大統領選候補者討論会(ウィスコンシン州ミルウォーキー)、国際ゲーム見本市「ゲームズコム」(ケルン、27日まで)、ジンバブエ大統領選挙 ・S&Pグローバル米製造業・総合・サービス業PMI(8月)、米新築住宅販売件数(7月)、S&PグローバルHCOBユーロ圏製造業・総合・サービス業PMI(8月)、ユーロ圏消費者信頼感指数(8月) 8月24日(木) ・全国百貨店売上高統計(7月)、対外・対内証券投資 (8月13-19日) ・米ジャクソンホール会合(26日まで)、 トルコ中銀と韓国中銀とインドネシア中銀が政策金利発表、G20貿易・投資相会合(インド・ジャイプール、25日まで) ・米新規失業保険申請件数(19日終了週)、米耐久財受注(7月) 8月25日(金) ・東京CPI(8月)、企業向けサービス価格指数(7月)、全国百貨店売上高(7月)、東京地区百貨店売上高(7月) ・米パウエルFRB議長がジャクソンホール会合で講演、米トランプ前大統領らのジョージア州での起訴出廷期限 ・米ミシガン大学消費者マインド指数・改定値(8月)、独GDP(2Q)、独IFO企業景況感指数(8月) 8月26-27日(土・日) ・中国工業利益(7月) (Bloombergをもとにフィリップ証券作成) ※本レポートは当社が取り扱っていない銘柄を含んでいます。 ■バフェット氏は住宅建設株に狙い 著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米バークシャー・ハザウェイ(BRK/B)の23年6月末保有銘柄リストによると、4-6月期に米大手住宅メーカーのDRホートン(DHI)、レナー(LEN)、NVR(NVR)の株式を新規に取得。バフェット氏は割安なバリュー銘柄への逆張り投資で有名だが、米フィラデルフィア住宅建設株指数の推移を見ると、S&P500指数やフィラデルフィア半導体株指数と比べても足元のパフォーマンスは上回り逆張りとは言えない。それでも予想PER(株価収益率)は割安水準。 住宅メーカー各社の業績好調の背景には、歴史的高水準の住宅ローン金利の高止まりの中でも中古住宅の在庫払拭で新築住宅の需要が堅調なことがある。住宅ローン金利が今後ピークアウトすれば、業績拡大の更なる加速が期待されよう。 【バフェット氏は住宅建設株に狙い~出遅れ感無いが、ローン金利低下も?】 ■中国のデフレ経済と不動産不況 中国の国家統計局によれば、7発の新築住宅価格(主要70都市)は前月比で7割の年が価格下落となり、平均でも▲0.23%と今年初めての下落。1-7月の不動産投資額も前年比▲8.5%と15ヵ月連続でマイナスとなった。1-7月の住宅販売面積は同0.7%とプラスを維持も、1-5月をピークに急速に鈍化。住宅市況の悪化は碧桂園のような大手不動産開発業者の経営を直撃している。 国家統計局が9日発表の7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.3%下落。不動産不況に加え輸出入減少でデフレ圧力が強まっている現状が浮き彫りとなった。その内訳では、旅行支出に関して7月が同13.1%上昇と対照的だ。海外への団体旅行が追加解禁された欧米や日本などにとってはプラス面もあろう。 【中国のデフレ経済と不動産不況~旅行支出大幅増、新築住宅価格も低迷】 ■日本株の「PBR革命」は道半ば 東京証券取引所が3月末、PBR(株価純資産倍率)の低迷する上場企業に対して改善策を開示・実行するように要請して以降、企業側は相次いで自社株買いなどの改善策に乗り出している。主に時価総額で加重平均された日経平均株価のPBR(日本経済新聞社公表)の今年4月以降のPBRを見ると、7/3に2018年1月以来となる1.39倍まで上昇。リーマンショック翌年2009年以降では2015年4月に付けた1.56倍が最高水準となっており、上昇余地が残されている面もある。 加重平均の1株純資産価格(日経平均株価÷加重平均PBR)は、8/15にほぼ2万5000円。ROE(株主資本利益率)10%仮定ならば2年後に同BPSが約3万円。同PBRが1.3倍ならば日経平均株価は計算上では3万9000円に達する。 【日本株の「PBR革命」は道半ば~加重平均BPS増とPBR上昇相乗効果期待】 ■銘柄ピックアップ 土屋ホールディングス(1840) 224 円(8/18終値) ※東証スタンダード上場 ・1976年に札幌市で設立の注文住宅会社。北海道を地盤とし、道内売上比率7割。断熱に優れた住宅開発に定評があり、主力の住宅事業のほか、リフォーム事業、不動産事業、賃貸事業を営む。 ・6/14発表の2023/10期1H(11-4月)は、売上高が前年同期比0.3%増の135.04億円、営業利益が前年同期の▲9.90億円から▲7.86億円へ赤字幅縮小。通常の営業形態として冬期間の影響で1Hと比べ2H(5-10月)完成工事割合が大きい。2022年度省エネ大賞最高賞(経済産業大臣賞)受賞。 ・通期会社計画は、売上高が前期比0.8%増の350億円、営業利益が同4.7倍の7億円、年間配当が同横ばいの6円。17日終値での株価純資産倍率(PBR)が0.48倍。北海道千歳市には日の丸半導体新会社「ラピダス」の最先端半導体の大規模生産工場建設予定のほか、北海道新幹線の札幌へ延伸開業が2030年の予定。また、訪日外客数拡大のなか大人気北海道の不動産は魅力大。 エア・ウォーター(4088) 1743 円(8/18終値) ・1993年に北海酸素と大同酸素が合併後、2000年に共同酸素と合併。産業ガスで国内2位、医療用酸素で同首位。ドライアイスは同シェア50%。加工食品・農業、医療機器などでM&A戦略推進。 ・8/3発表の2024/3期1Q(4-6月)は、売上収益が前年同期比2.4%増の2300億円、営業利益が同13.3%減の112.63億円。アグリ&フーズ事業は増収・増益、主力のデジタル&インダストリー事業は増収も原料ガス不足等が響き減益。エネルギー関連とヘルスケア・防災関連は減収減益だった。 ・通期会社計画は、売上収益が前期比7.5%増の1兆800億円、営業利益が同15.8%増の720億円、年間配当が同横ばいの60円。同社は海外と半導体を成長分野と位置付け、北米・インドでの産業ガス拡大と国内各地で建設が進む半導体製造工場新増設への対応に注力。また、冷凍食品・低温物流やEコマース向け需要増のドライアイスは原料のCO2排出減により構造的供給不足。 日本板硝子(5202) 758 円 (8/18終値) ・1918年に大阪市で設立の住友系ガラス専業メーカー。2006年に英ピルキントンを完全子会社化して世界展開。建築用ガラス事業、自動車用ガラス事業、高機能ガラス事業がコア製品分野。 ・8/9発表の2024/3期1Q(4‐6月)は、売上高が前年同期比16.9%増の2079億円、営業利益が同76.4%増の145.78億円。高機能ガラス市場が需要低調も主力2事業が堅調。建築用ガラス事業が同8%増収・34%営業増益、自動車用ガラス事業が同24%増収・営業利益32.30億円へ黒字転換。 ・通期会社計画を上方修正。売上高を前期比10.0%増の8400億円(従来計画:7600億円)、営業利益を同0.5%増の350億円(同:180億円)とした。年間普通配当は引き続き無配。大手電力会社が6月、家庭向け電気料金を値上げ。電気料金が高止まりするなか、省エネ性能の高い窓ガラス・窓枠交換に係る「先進的窓リノベ事業」の政府補助金を追い風に、高断熱ガラスの販売が急拡大。 レオパレス21(8848) 333 円 (8/18終値) ・1973年に東京都中野区で設立。自社物件の賃貸・管理、建築請負したアパート一括借上げによる賃借物件の賃貸・管理などに係る賃貸事業を主な事業とするほか、介護老人施設運営等も行う。 ・8/8発表の2024/3期1Q(4-6月)は、売上高が前年同期比4.9%増の1063億円、営業利益が同2.1倍の76.22億円。「アフターコロナ」に伴う法人顧客の入居需要回復や各種施策の奏功により6月末は入居率が同2.6ポイント上昇の86.8%と回復。管理戸数増やコスト構造の適正化も業績へ貢献。 ・通期会社計画は、売上高が前期比3.3%増の4198億円、営業利益が同40.7%増の139億円。年間配当は引き続き無配。2018年4月に起きた大量施工不備問題に伴い21年3月期まで3期連続最終赤字から現在は経営再建途上。訪日外国客が中国の団体旅行解禁により更に増加すると見込まれるなか、同社はSIMカード対応ほか日本に長期滞在の外国人向け入居サービスへ積極注力。 ウィルマー・インターナショナル(WIL) 市場:シンガポール 3.59 SGD(8/17終値) ・1991年設立のアジアを代表する農業ビジネスグループであり、消費者向け食用油の生産では世界最大規模。栽培から加工、製品化まで農業ビジネスのバリューチェーン全体を網羅している。 ・8/11発表の2023/12期1H(1-6月)は、売上高が前年同期比10.0%減の325.38億USD、非継続事業や生物性資産公正価値変動など非経常的損益を除くコア純利益が同50.0%減の5.77億USD。欧州合弁・関係会社からの投資利益増および販売量が増加も、商品相場全般の下落が響いた。 ・同社は食糧製品部門(消費者向け製品、ミディアム・バラ包装製品)、飼料および工業製品部門(トロピカルオイル、油糧種子・穀物加工、砂糖)、プランテーションおよび製糖部門を主要3事業部門とする。それに加え、調味料や川下のフードパーク・セントラルキッチンなど新規事業が進捗。環境に左右されにくい多角化された事業および垂直統合事業モデルの強みが中長期で期待される。 ■アセアン株式ウィークリーストラテジー (8/21号「シンガポール主要3銀行Gの業績動向」) シンガポールの主要3銀行グループであるDBSグループHDS(DBS)、オーバーシー・チャイニーズ銀行(OCBC)、ユナイテッド・オーバーシーズ銀行(UOB)の2023年4-6月期(2Q)業績を見ると、貸出残高が伸び悩む一方で、預貸の利鞘である純金利マージン(NIM)の拡大が業績を牽引。 2QのNIMはDBSが前年同期比0.96ポイント拡大の2.81%、UOBが同0.60ポイント拡大の2.62%、OCBCが同0.55ポイント拡大の2.26%と堅調だったが、前四半期比ではそれぞれ0.12ポイント拡大、0.01ポイント拡大、0.04ポイント縮小とピークアウト感も出てきた。DBSはウエルスマネジメント業務が堅調であるのに対し、UOBは大手不動産会社のUOL、OCBCは生命保険国内首位のグレート・イースタンHDSを同じ企業グループ内に擁するといった独自の強みを生かした事業展開が注目される。
投資戦略ウィークリー 2023年7月18日号 ”リスク選好型ドル安、「失われた30年」脱却期待の円高”
■“リスク選好型ドル安、「失われた30年」脱却期待の円高” 為替相場が急速な円高ドル安に振れている。この要因には米国側の「ドル安」と日本側の「円高」の両方がある。米国では、5月の個人消費支出(PCE)物+価指数、6月の雇用統計および消費者物価指数(CPI)といった一連の経済指標から「金融引締めが最終局面に差し掛かった」との市場の認識が強まった。日本では、7日発表の5月の毎月勤労統計(速報)で現金給与総額(名目賃金)の前年比伸び率が4月の8%から2.5%に市場予想外に拡大したことをきっかけに、27・28日の日銀金融政策決定会合で長短金利操作(YCC)の修正に踏み切るとの観測が高まったことが挙げられる。 このうち、「ドル安」は米国市場を源流としてから外へ、主に新興国市場やコモディティ市場などへグローバルマネーが流れることという意味で「リスク選好型」のドル安と言える。日本株も恩恵を受ける可能性が高い。ただ、6月までとは異なり、円高の恩恵を受けやすい業種のほうが輸出関連株や半導体関連株よりも買われやすくなる可能性はある。その場合、同じ日本株が買われるとしても、日経平均株価への寄与度が低下することから「買われている割には日経平均の反応が良くない」といった相場になりがちではある。 「円高」についても、それが日銀のYCC見直し観測によるものならば、短期金利が変わらないままYCCにおける長期金利の変動許容幅が引きあがることで、金融機関は「長期金利で運用・短期金利で調達」の利ザヤを稼ぎやすくなる。それが融資の伸びに繋がることで「経済の血液」である「カネ」が実体経済に回りやすくなるだろう。また、内田副総裁が最近、「デフレ期に定着していた企業行動にようやく変化の兆しが出てきた」と発言している。YCCの見直しは、日本が「失われた30年間」から今度こそ本当に抜け出せるのではないかとの期待を海外投資家に対して高めこそすれ、日本株を売る要因にはならないと思われる。 8月22-24日に南アフリカで開催予定の「BRICSプラス」の年次首脳会議で、加盟国が米ドルに対抗するために金(ゴールド)を裏付けとした「金本位制」に基づく新しい決済通貨の導入が審議される予定だ。どのような影響を金融市場にもたらすかは未知数だが、金先物価格が短期的に思惑で買われる材料になるとは考えられよう。なお、BRICSとはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの頭文字で、イラン、アルゼンチン、サウジアラビアを始め、「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国が相次いでBRICSへの加盟申請を行っていると報じられている。年末に向けてのグローバル金融市場の潜在的な波乱要因と捉える余地はあろう。 7/18号では、ニッスイ(1332)、ニッポン高度紙工業(3891)、小野測器(6858)、萩原工業(7856)、SIAエンジニアリング・カンパニー(SIE)を取り上げた ■主な企業決算の予定 7月18日(火):マネーフォワード、バロックジャパンリミテッド、大庄、日本国土開発、ブロンコビリー、日置電機、(米)モルガン・スタンレー、チャールズ・シュワブ、ロッキード・マーチン、バンク・オブ・アメリカ、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン 7月19日(水): 光世証券、(米)IBM、テスラ、ネットフリックス、ゴールドマン・サックス・グループ、ベーカー・ヒューズ、USバンコープ、ASMLホールディング 7月20日(木): ディスコ、ニデック、エイトレッド、アルインコ、(米)インテュイティブサージカル、CSX、キャピタル・ワン・ファイナンシャル、アボットラボラトリーズ、フィリップ・モリス・インターナショナル、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J) 7月21日(金): 岩井コスモホールディングス、東京製鐵、アジュバンホールディングス、(米)アメリカン・エキスプレス ■主要イベントの予定 7月17日(月) ・G20財務相・中央銀行総裁会議、関連会合(インド・ガンディーナガル、14-18日)、ECB総裁、講演、中国中期貸出制度(MLF)1年物金利、ウクライナ穀物合意の延長期限 ・米ニューヨーク連銀製造業景気指数(7月)、中国小売売上高・工業生産 (6月)、都市部固定資産投資(1-6月)、中国GDP (2Q) 7月18日(火) ・LNG産消会議、第3次産業活動指数(5月) ・米マイクロソフトによるアクティビジョン・ブリザードの買収手続き完了期限 ・米小売売上高(6月)、米鉱工業生産(6月)、米NAHB住宅市場指数(7月)、米企業在庫(5月)、対米証券投資(5月) 7月19日(水) ・訪日外客数(6月) ・米住宅着工件数(6月)、欧州新車販売台数(6月)、ユーロ圏CPI(6月)、英CPI(6月) 7月20日(木) ・貿易収支(6月)、主要銀行貸出動向アンケート調査(7月)、首都圏新築分譲マンション(6月)、工作機械受注(6月) ・中国1年・5年物ローンプライムレート(LPR)、トルコ中銀と南ア中銀が政策金利発表、EU外相理事会、米テスラがマレーシアに正式参入、FIFA女子ワールドカップ(8月20日まで、米新規失業保険申請件数 (7月15日終了週) ・米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(7月)、米中古住宅販売件数(6月)、米景気先行指標総合指数(6月)、ユーロ圏消費者信頼感指数(7月)、豪雇用統計(6月)オーストラリア&ニュージーランド) 7月21日(金) ・ナレルグループが東証グロースに新規上場、全国消費者物価指数(6月)、対外・対内証券投資-株式ネット(7月9-15日) ・ロシア中銀が政策金利発表、スリランカ大統領がインド訪問(22日まで) 7月22-23日(土・日) ・スペイン総選挙、カンボジア総選挙 (Bloombergをもとにフィリップ証券作成) ■ナスダック100「特別なリバランス」 米ナスダック上場で金融を除く時価総額上位100銘柄の時価総額加重平均により算出される「ナスダック100指数」が異例のリバランスを実施することとなった。今月24日にも指数構成銘柄のウエイト再配分の見通しで、詳細は14日に発表予定。 ナスダックの規定によれば、指数構成比率4.5%以上を占める大型株の影響力が合計で48%を超えた場合、ウエイトを減らすことができるとされている。7/12終値ではウエイト4.7%で6位(テスラ)までの累積ウェイトが55.6%に達した。昨年末の場合、ウェイト6.5%で4位(アマゾン・ドット・コム)までの累積ウエイトは44.1%にとどまっていた。リバランスに伴い、対象となるウエイト上位の大型時価総額銘柄のまとまった売り需要が新たに発生することになる点は要注意だろう。 【ナスダック100「特別なリバランス」~ウエイト4.5%以上累計で48%超条件】 ■米CPI上昇率・前年比のカラクリ 米労働省が12日発表した6月の消費者物価指数(CPI、季調済み)は前年比3.0%上昇と、5月の4.0%から鈍化。約2年ぶりの小幅な伸びとなった。変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前年比4.8%上昇と、前月の5.3%から鈍化。市場では「追加利上げはあと1回」という楽観論が優勢となってきた。 WTI原油先物は昨年6月中旬以降、今年3月の1バレル64ドル台まで下落基調を辿った。CBT小麦先物も同様に昨年6月から今年5月頃まで下落基調。また、米中古車販売価格の代表的指標のマンハイム指数も含めて、軒並み前年比では大幅マイナスで推移。来月以降は基準となる前年分の価格が下落していくことから、足元で需要の減退が見られない限りは、CPI上昇率が上振れしやすいだろう。 【米CPI上昇率・前年比のカラクリ~原油・穀物などは昨年6月まで値上り傾向】 ■ドル円相場と物色される業種 6月末に1ドル145円台までの円安ドル高が進んでいたところ月に入って一転して円高ドル安が進行。厚労省が7日発表した5月の1人当たり現金給与額が前年同月比2.5%増と、前月の伸び率を上回ったことから「賃金上昇を伴う物価安定」という日銀目標に近づいたとの見方が強まった。長短金利操作(イールド・カーブ・コントロール)の修正観測も高まっている。 TOPIX-17の業種別では、10月~1月までの円高ドル安局面で「銀行」と「鉄鋼・非鉄」が騰落率上位を占めた一方、「自動車・輸送機」と「不動産」が下位。「商社」は、今年1月~6月にかけての円安ドル高局面で騰落率首位、かつ、今年1月までの円高ドル安局面でも騰落率は上位。外部環境の変化に強いとの見方の一方、買われ過ぎとの見方もあり得よう。 【ドル円相場と物色される業種~直近の円高ドル安時は銀行と鉄鋼・非鉄】 ■銘柄ピックアップ ニッスイ(1332) 669.2 円(7/14終値) ・1911年に田村市郎が下関で創業後1943年設立。漁撈・養殖など水産事業、食品の加工・チルド等の食品事業、医薬原料・機能性食品等のファイン事業、および冷蔵倉庫等の物流事業を営む。 ・5/12発表の2023/3通期は、売上高が前期比10.7%増の7681億円、営業利益が同9.6%減の244.88億円。水産事業は国内外の販売好調および国内養殖事業の改善継続、北米加工事業のコスト削減の寄与により同14%増収、同46%営業増益。食品事業は同16%増収も同26%営業減益。 ・2024/3通期会社計画は、売上高が前期比4.1%増の8000億円、営業利益が同10.3%増の270億円、年間配当が同2円増配の20円。ブリ養殖事業開始後20年で開発した人口種苗100%完全養殖「黒瀬ぶり」は年中変わらぬ旬の味。AIとIoT活用の独自自動給餌システムでの養殖「境港サーモン」も好評。黒瀬ぶりは海外輸出、寿司ネタで外国人に人気のサーモンは海外で養殖拡大方針。 ニッポン高度紙工業(3891) 2145 円(7/14終値) ・1941年に高知市で設立。電気絶縁用セパレータ紙の専業大手であり、アルミ電解コンデンサ用および電池用のセパレータ製造・販売を主事業とする。アルミ電解コンデンサー用は世界シェア6割。 ・4/27発表の2023/3通期は、売上高が前期比2.7%減の175.86億円、営業利益が同18.2%減の33.27億円。アルミ電解コンデンサ用セパレータは民生機器向け需要減少が響き同5.4%減収。一方、機能材は海外向け電気二重層キャパシタ用セパレータの増加により同7.1%増収だった。 ・2024/3通期会社計画は、売上高が前期比2.3%増の180億円、営業利益が同6.8%増の31億円、年間配当が同横ばいの50円。アルミ電解コンデンサ用セパレータは電気自動車(EV)市場拡大に伴うリチウムイオン電池向け、および省力化に伴う産業機器向けの需要増が見込まれるほか、機能材は脱炭素の環境関連市場向けの伸びが期待される。株価はPBR1.0倍近辺で下げ止まり傾向。 小野測器(6858) 485 円(7/14終値) ・1957年設立のデジタル計測機器大手。各種センサ類や回転・速度計測機器、音響・振動計測機器など「計測機器」、および音響・振動その他に係る「特注試験装置及びサービス」を主に営む。 ・4/25発表の2023/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比18.0%減の27.84億円、営業利益が同92.4%減の32百万円。受注高が同24.4%増と堅調も、部品供給不足が課題となる中で顧客の設備発注におけるリードタイム確保に伴い、1Qに集中していた納期の分散傾向が売上減に繋がった。 ・通期会社計画は、売上高が前期比14.4%増の125億円、営業利益が同7.2倍の4億円、年間配当が同5円増配の10円。3月末受注残高は計測機器が同10.1%増、特注試験装置及びサービスが同34.2%増と先行き見通しは安定的。電気自動車(EV)関連の案件にも強く、試験機は各開発のステップに対応したアプリケーションを開発。自動車メーカーの電動・電装化の進展が追い風となろう。 萩原工業(7856) 1468 円(7/14終値) ・1962年に岡山県倉敷市で糸用ポリエチレン糸の製造販売で設立。ブルーシートやコンクリート補強繊維の「合成樹脂加工製品事業」、および産業機械スリッターの「機械製品事業」を主に営む。 ・6/12発表の2023/10期1H(11-4月)は、売上高が前年同期比9.9%増の159.30億円、営業利益が同36.2%増の10.10億円。合成樹脂加工製品はコンクリート補強繊維「バルチップ」等が海外向け中心に堅調で増収増益。人工芝製品も需要回復。機械製品は増収も、電装品の調達難で減益。 ・通期会社計画は、売上高が前期比3.5%増の310億円、営業利益が同23.4%増の17億円、年間配当が同14円増配の50円。建築現場の資機材野積みカバーで使われるブルーシートで同社は国内シェア約9割。防災シートも軽量・高防音性の高技術。老朽インフラ補修で需要増が見込まれる。バルチップはコンクリート耐久性を高める資材として世界55ヵ国の構造物に採用、世界シェア2割。 SIAエンジニアリング・カンパニー(SIE) 市場:シンガポール 2.47 SGD(7/13終値) ・1992年にシンガポール航空エンジニアリング部門から分離独立しその子会社となった。アジア有数のMRO(メンテナンス・修理・オーバーホール)業者。戦略的提携による合弁事業拡大に注力。 ・5/8発表の2023/3通期は、売上高が前期比40.6%増の7.96億SGD、営業利益が▲26百万SGDへ赤字幅拡大も、前期計上の政府賃金支援金および関連会社・合弁事業に係る税金引当金戻し入れといった一時的要因を除く調整後純利益は前期▲47百万SGDから55百万SGDへ黒字転換。 ・同社・子会社および関連会社と合弁事業を含めた企業グループ全体の2023/3通期売上高が2020/3通期比で6%増とコロナ禍前を超えた。今年3月の航空便数がコロナ禍前水準の約80%まで回復する中で今後の回復ペース減速が想定されるも、3月末で8ヵ国22社に跨る戦略的提携に伴う合弁事業の再編と拡大による成長が見込まれる。親会社グループの世界拡大戦略も支援となろう。 ■アセアン株式ウィークリーストラテジー (7/18号「シンガポール株で重要なテマセクHD」) シンガポールの政府系投資会社テマセク・ホールディングスの2023/3通期運用成績が11日に発表され、株主総利回り(TSR)が▲5.07%と、2016年以降の最悪を記録。3月末の純資産価値も3820億SGDへ減少した。同社CEOは経済のデカップリング(切り離し)や保護主義、エネルギー安全保障・再エネシフトに関連するコストなどのリスクを強調した。 同社が普通の機関投資家と根本的に異なるのは、主にシンガポール主要企業の主要株主として経営に介入することで自らリターンを改善し得る立場にある点だ。同社出資の複合企業ケッペルと石油掘削装置建造大手セムコープ・マリンの海洋事業統合など大胆な事業再編を主導したのはその一例。シンガポール株投資では、テマセクによる出資の有無が大きなポイントと考えられよう。
SGXシンガポール株式市況レポート ーアセアン各国における消費財企業がパフォーマンス牽引ー
原文:シンガポール取引所(SGX) 原文公開日:2023年6月22日 翻訳作成日:2023年6月29日 *このレポートはシンガポール取引所が発行した、経済見通しと市場、発行体に関するレポートを日本のフィリップ証券が翻訳して作成しています。 ■レポートサマリー STI30銘柄に72銘柄の中小型株を加えた FTSE STオールシェア指数の年初来トータルリターンは4%となった。2019年末から起算したトータルリターンは10.9%となり、FTSE APACインデックスの8.0%をわずかに上回った。 FTSE STオールシェアの102銘柄のうち、84銘柄は今年これまでにシンガポールで最も取引高の多い100銘柄にランクインしている。同指数では、消費循環セクターがGenting社に率いられる形で、年初来での機関投資家の資金流入を最も多く記録しており、これは一般消費財セクターが、地域内および世界的にみても、最も堅調なパフォーマンスで推移しているセクターの3つにランクインしたのと同時期に起こったことである。 当インデックスにおいてYTDで最も好調なパフォーマンスを記録したのはDelfi社であり、同社は年初来で65%のトータル・リターンを記録し、さらにシンガポール取引所で最も取引された80銘柄にランクインした。同銘柄は、インドネシアのブランド菓子製品に対する消費者の需要を背景に、2022年と2023年第1四半期に前年同期比2桁の売上成長率を記録した。 ■ FTSE STオール・シェア・インデックスの主要構成銘柄と世界の類似銘柄との比較 22年下期と同様に、23年上期もストレーツタイム指数(STI)の取引レンジは300ポイントとなり、同指数は今年に入って0.9%下落。配当を加味した場合の同指数の年初来トータルリターンは1.7%となった。STIの主要30銘柄と中・小型株72銘柄で構成されるFTSE STオール・シェア・インデックスの年初来トータル・リターンは1.4%であった。FTSE STオール・シェア・インデックス102銘柄のうち、84銘柄がシンガポールで最も売買高の多い100銘柄にランクインしている。 引用:ロイター、ブルームバーグ、FTSE(2023年6月21日終値データに基づく) FTSE STオール・シェア・インデックスの年初来リターンが横ばいとなったタイミングは、貿易を中心とする経済の非石油国内輸出が2020年中の水準に戻った時期と一致している。同時に、金利上昇と中国の成長モメンタムの鈍化によって世界的な成長見通しが悪化しているため、23年第1四半期中の同指数のリターンは前四半期中のリターンと比べて0.4%減となったが、前年同期比では0.4%増となった。とはいえ、株価は本質的には将来的な見通しを織り込んでいくものである。23年上半期に世界株と地域株を牽引したセクターは、テクノロジー、通信、消費循環セクターなどである。これは、デジタルを活用した革新的な消費者成長というテーマに関わる、長期的な(あるいは短期的かつ近視眼的な)企業のもつ野望と矛盾するものではない。 シンガポールでは、一般消費財株式への機関投資家の資金流入が今年最も多かった。ベンチャー・コーポレーション、UMSホールディングス、AEMホールディングスで構成されるシンガポールで最も取引量の多いテクノロジー株3銘柄は、2019年末以降、ナスダック総合株価指数と歩調を合わせたトータルリターンの平均値に着地している。また、シンガポールのテレコミュニケーション企業は、2020年の最初の10ヵ月間に世界の同業他社を35%、地域の同業他社を40%アンダーパフォームした。しかし、それ以降から現在までの間に、これら世界および地域内における同業他社を25%アウトパフォームした。FTSE STオール・シェア・インデックスの5銘柄中3銘柄は年初来で、時価総額に対する機関投資家の資金流入の比率で見て、高い出来高が観測された。そうした銘柄の中には、AEM Holdings、Best World International、Genting Singaporeの3銘も含まれている。この3銘柄は23年初来で1桁台のトータル・リターンを記録した。 Delfi社は2023年年初来でFTSE STオールシェア・インデックスをリードしている。Delfi社は今年、最も取引されたシンガポール株80銘柄にランクインしており、23年初来トータル・リターンは65%だった。Delfi社の23年第1四半期の業績は、消費者需要に牽引され、インドネシアとその地域市場にまたがる自社ブランドと代理店ブランドの両方で堅調な伸びを示し、前年同期比20.8%の大幅な増収を記録した。インドネシア市場はDelfiの売上高の3分の2以上を占めており、この市場での売上は同社2022年通期決算において、前年比19.2%の売上成長を示した。 Statista社は4月、インドネシアの小売部門がアジアで急成長しており、インドネシアの国内総生産(GDP)に約13%貢献していると強調した。また、2億7000万人以上の比較的大きな人口、購買力の高い中間層の増加、習慣的に高い消費行動を行うミレニアル世代、インドネシアは小売市場にとって大きな潜在力を秘めていると付け加えた。 これと並行して、Delfi社は2023年の大半は事業の勢いが続くと予想しており、主要市場における消費者需要の成長から引き続き利益を得るため、中核ブランドの成長戦略の実行、流通能力の強化、地域事業の成長支援に引き続き注力している。当グループは、1950年代に発売されたシルバークィーンやケレス、1980年代発売のデルフィなど、インドネシアで確立されたチョコレート菓子ブランドのポートフォリオを有している。 Delfi社の株価は1.24シンガポールドルで、52週高値1.45シンガポールドルと52週安値0.67シンガポールドルの間にある。バリュエーション面では、Delfi社のPBRは2.3倍で、5年平均のPBR1.9倍より割高で取引されている一方、PERは13倍で、5年平均のPER18倍より割安で取引されている。 当インデックスの年初来パフォーマー上位10銘柄と下位10銘柄を以下に示す。 FTSE STオールシェア指数における年初来パフォーマンス上位10銘柄 引用:ロイター、ブルームバーグ、FTSE(2023年6月21日終値データに基づく) FTSE STオールシェア指数における年初来パフォーマンス下位10銘柄 引用:ロイター、ブルームバーグ、FTSE(2023年6月21日終値データに基づく)
投資戦略ウィークリー 2023年7月3日号 “6月末近辺の需給特異日~物色はバリューシフトか?”
■“6月末近辺の需給特異日~物色はバリューシフトか?” 6月下旬から月末にかけて様々な要因が重なっている。3月決算企業の株主総会が相次ぐ時期という点では、経営者の前向きなコメントが買い材料となる可能性がある。その一方、需給面で予め押さえておくべき幾つかの要因もある。 第1に、EFT分配金確保のための換金売りだ。日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)に連動する主なETF(上場投資信託)の決算日である支払基準日(年1回)は7月8日または10日に到来する。権利付き最終日はその2営業日前であり、支払基準日が休日の場合は権利付き最終日が3営業日前となる。 第2に、年金の資産ポートフォリオにおける株式や債券のリバランスだ。最近は政府が資金を拠出し、2021年度から科学技術振興機構(JST)が金融機関などに運用を委託する「大学ファンド」が足元で10兆円規模に達している。なお、大学ファンドは目標運用利回りが38%とされており、その運用資金が高配当利回りの日本株へ資金が流れやすい面も無視できないだろう。 株主還元強化の下で平均配当利回りは年々高まる可能性が高く、四半期ごとに同様の需給要因が強まりやすいだろう。配当への注目度が高まるなか、日本経済新聞社が「日経連続増配株指数」と「日経累進高配当株指数」の算出・公表を30日から開始。米国では米国株を代表する「S&P500指数」構成銘柄の中から、25年以上連続して増配を実施している銘柄を「配当貴族」と呼び、その中から時価総額30億ドル以上から構成される「S&P500配当貴族指数」の注目度が高い。更に、S&P500指数に限らず上場企業全体の中から50年以上にわたって毎年配当を増額している銘柄は「配当王」と呼ばれる。 海外市場では昨年11月末に生成AI(人工知能)のChatGPTがリリースされて以来、インフレ率減速に伴う利上げ停止観測の強まりに後押しされて先端半導体と大型ハイテク株を中心としたグロース投資が勢いを得てきた。ところが、ここに来て欧米先進国では金融引締め長期化が意識され、長期金利が上昇ペースを速め、出遅れていた景気敏感株をはじめとするバリュー株へ資金がシフトし始めている。配当利回りや増配がより意識されやすい面もあるだろう。また、前期まで販売価格引き上げが原材料やエネルギー費用の高騰に追いつかなかった業種も、更なる販売価格引き上げとエネルギー価格の落ち着き・部品供給制約緩和なども合わさって、業績改善が加速しやすい面もありそうだ。そのような観点からは、セメントやガラスなどの素材を扱う企業が注目される。(笹木) 7/3号では、ステラケミファ(4109)、武田薬品工業(4502)、日本電気硝子(5214)、住友大阪セメント(5232)、キャピタルAブルハド(CAPI)を取り上げた。 ■主な企業決算の予定 7月3日(月):ネクステージ、象印マホービン、日本フイルコン、北恵 7月4日(火): アスクル、ハイデイ日高、アークス 7月5日(水): エスプール、薬王堂ホールディングス、サンエー、キユーピー、トーセイ 7月6日(木):フェリシモ、オーエスジー、トーセ、大黒天物産、キユーソー流通システム、わらべや日洋ホールディングス、ヨンドシーホールディングス、クリーク・アンド・リバー社、大阪有機化学工業、ウェザーニューズ、オンワードホールディングス 7月7日(金):MS&Consulting、TAKARA & COMPAN、エコートレーディング、エスクロー・エージェント・ジャパン、サーラコーポレーション、ジャステック、ファーストブラザーズ、フジ、ミタチ産業、ヤマトインターナショナル、ライフコーポレーション、ワキタ、安川電機、技研製作所、日本BS放送、北興化学工業、良品計画 ■主要イベントの予定 7月3日(月) ・日銀短観(2Q)、auじぶん銀行日本製造業PMI(6月) ・米株式・債券市場が短縮取引、テニスのウィンブルドン選手権開幕(ロンドン16日まで) ・米自動車販売(6月)、米建設支出(5月)、米ISM製造業景況指数(6月)、S&Pグローバル米製造業PMI(6月)、S&PグローバルHCOBユーロ圏製造業PMI(6月)、中国財新製造業PMI指数(6月) 7月4日(火) ・AeroEdgeが東証グロースに新規上場、マネタリーベース(6月)、日銀営業毎旬報告(6月30日現在) ・米独立記念日の祝日で米株式・債券市場休場、英中銀金融政策委員会(MPC)メンバーのテンレイロ委員、任期満了、豪中銀が政策金利発表、上海協力機構(SCO)首脳会議(オンライン形式) 7月5日(水) ・ブリーチが東証グロースに新規上場、auじぶん銀行日本サービス業・日本複合PMI(6月)、日銀・需給ギャップと潜在成長率 ・米FOMC議事要旨 (6月13、14日開催分)、米ニューヨーク連銀総裁が座談会に参加、第8回OPECインターナショナルセミナー(ウィーン、6日まで) ・米製造業受注(5月)、ユーロ圏PPI(5月)、 S&PグローバルHCOBユーロ圏総合・サービス業PMI(6月)、中国財新コンポジット・サービス業PMI(6月)、露GDP(1Q) 7月6日(木) ・対外・対内証券投資(6月25-7月1日)、東京オフィス空室率(6月) ・米ダラス連銀総裁・パネル討論会に参加、ポーランド中銀とマレーシア中銀が政策金利発表 ・米ADP雇用統計 (6月)、 米新規失業保険申請件数 (7月1日終了週)、米貿易収支(5月)、米求人件数(5月)、米ISM非製造業総合景況指数(6月)、S&Pグローバル米総合・サービス業PMI(6月)、ユーロ圏小売売上高(5月)、独製造業受注(5月) 7月7日(金) ・グリッドが東証グロースに新規上場、毎月勤労統計-現金給与総額・実質賃金総額・家計支出(5月)、景気先行CI・一致指数(5月) ・ECB総裁がパネル討論会に参加、北大西洋条約機構(NATO)事務総長が首脳会議控え記者会見(ブリュッセル) ・米雇用統計(6月)、独鉱工業生産(5月)、中国外貨準備高 (6月) 7月8-9日(土・日) ・英中銀総裁がパネル討論会に参加、 ウズベキスタンで大統領選挙、中国経済全体のファイナンス規模、新規融資、マネーサプライ(6月、15日までに発表) (Bloombergをもとにフィリップ証券作成) ※本レポートは当社が取り扱っていない銘柄を含んでいます。 ■米航空株は他地域より割安か? 米運輸保安庁(TSA)は6/20、ジューンティーンスの連休初日となった16日に航空旅客数が278万5千人と、1日として過去4番目の高水準に達したと発表。業界団体(エアライン・フォー・アメリカ)は6-8月の航空旅客数が過去最多となる見込みとした。そのようななか米デルタ航空(DAL)の株価は、現地通貨建ておよび米ドル建てのどちらの場合でも、昨年4月初日終値を100とした相対指数でシンガポール航空や独ルフトハンザを足元で下回る。予想PERはどの会社も1桁台と低位である。 デルタ航空は27日開催の投資家向けイベント資料で、2023年の業績見通し引上げを発表。航空機の供給不足が運賃上昇を通じて同社の業績にポジティブに作用する可能性が高いほか、消費の物からサービスへのシフトも追い風となろう。 【米航空株は他地域より割安か?~米航空旅客数は歴史的高水準まで回復】 ■史上最高値更新のインドSENSEX インドの株価指数であるSENSDERX終値は6/28、過去最高値を更新。人口や所得の増加を背景に多様な企業の業績拡大が続くとの期待が投資マネーの流入に繋がっている。21年末を基準としても、日経平均株価やブラジル・ボベスパ指数に次ぐ上昇率だ。欧米先進国の金融引締め観測とは対照的に、ブラジルの今年8月に続いてインドも、エルニーニョ現象によるインフレリスクが残るものの、10-12月の利下げ観測が市場で台頭。 米国上場のインド株ADRを見ると、大手銀行や後発医薬品会社の株価が堅調の一方、世界的にインドの強みとされるソフトウェア開発受託や情報通信技術(ICT)といったIT企業の株価は出遅れている。生成AI(人工知能)の需要増加がインドIT企業への追い風と期待されよう。 【史上最高値更新のインドSENSEX~ADRは銀行と医薬品高くIT関連出遅れ】 ■増配・高配当利回り銘柄の指数 欧米先進国が金融引締めに舵を切った2022年以降、日本株でも高配当利回り銘柄の株価が相対的に堅調に推移。そのようななか、日本経済新聞社は日経平均株価構成銘柄のうち配当利回りが高い50銘柄で算出する「日経平均高配当株50指数」の定期見直し(6/30から適用)で4銘柄(東ソー(4042)、三井金属(5706)、いすゞ自動車(7202)、川崎汽船(9107))を新規採用し、1銘柄(伊藤忠商事(8001))を除外した。 日本経済新聞社は、国内企業の配当に着目した株価指数の「日経連続増配株指数」と「日経累進高配当株指数」の算出・公表を6/30から開始するとした。米国株で25年間以上にわたり連続増配を行う優良大型株のパフォーマンスを測定する「S&P500配当貴族指数」が有名だ。 【増配・高配当利回りの指数~6月末より2つの新指数開始、1つは銘柄入替】 ■銘柄ピックアップ ステラケミファ(4109) 3,125 円(6/30終値) ・1916年に堺市で橋本治三郎が創業し硝酸塩を製造。半導体やリチウムイオン2次電池向けフッ化物等高純度薬品事業の他、ステラファーマ(4888)はがん放射線治療用ホウ素医薬品に取り組む。 ・5/9発表の2023/3通期は、売上高が前期比5.1%減の353.82億円、持分法投資利益を含む経常利益が同23.8%減の43.47億円。高純度薬品事業は同5.0%減収、同38%営業減益。半導体部門が増収もエネルギー・工業用フッ酸部門が出荷量減。主要原材料の価格高騰も利益面で響いた。 ・2024/3通期会社計画は、売上高が前期比8.7%減の323億円、営業利益が同20.3%減の28億円。日本と韓国両政府は29日、金融危機の際に通貨を融通する通貨交換協定を再開することで合意。日本政府が輸出管理厳格化措置を解除した3月以降、半導体素材の韓国向け輸出額が増加。韓国によるフッ化水素の日本からの輸入額が3-5月に前年同期比2.2倍と、同社へ追い風だ。 武田薬品工業(4502) 4,527 円(6/30終値) ・1781年(天明元年)に近江屋長兵衛が大阪・道修町で創業。消化器系疾患、希少疾患、免疫疾患、がん、神経精神疾患などにフォーカス。2019年にアイルランドのシャイヤーを6.2兆円で買収。 ・5/11発表の2023/3通期は、売上収益が前年同期比12.8%増の4兆0274億円、一時的要因の影響を除くコア営業利益が同24.4%増の1兆1884億円。前年同期に売上計上した日本の糖尿病治療剤ポートフォリオ1330億円譲渡のマイナス要因も主要疾患領域の堅調な推移と円安が業績寄与。 ・2024/3通期会社計画は、コア売上収益が前期比1桁台前半の減少率、コア営業利益が同10%台前半の減少率、年間配当が同8円増配の188円。日本経済新聞社が6/30より算出・公表の「日経累進高配当株指数」で累進配当年数は41年で同社が首位。世界で競り合う米バイオ医薬品大手アッヴィ(ABBV)は米国で「配当貴族」銘柄として知られ、50年以上連続増配かつ高配当利回り。 日本電気硝子(5214) 2,531 円(6/30終値) ・1949年に日本電気(6701)から独立して創立。薄型パネルディスプレイ用ガラスなど電子・情報、および機能材料・その他の分野で特殊ガラス製品およびガラス製造機械類の製造・販売を営む。 ・4/28発表の2023/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比21.0%減の679.22億円、営業利益が前年同期の105.15億円から▲19.41億円へ赤字転落。薄型パネルディスプレイ(FPD)用ガラス、電子デバイス用ガラス、ガラスファイバなどが減収。FPD用ガラスを中心に稼働率低下で原価が高騰。 ・通期会社計画は、売上高が前期比4.7%増の3400億円、営業利益が同61.8%減の200億円、年間配当は同横ばいの120円。中間期業績予想を下方修正も通期据え置き。ガラス製品世界首位の米コーニング(GLW)がディスプレイガラス基板価格の20%値上げを7-9月期から実施と発表。部材ガラス基板は同社含むコーニング、AGC(5201)の世界3社寡占市場。同社へ恩恵も見込まれる。 住友大阪セメント(5232) 3,803 円(6/30終値) ・1994年に住友セメントと大阪セメントが合併。主力のセメント事業のほか鉱産品事業(石灰石や骨材の採掘・販売)、建材事業(コンクリート構造物向け)、光電子事業、新材料事業などを営む。 ・5/11発表の2023/3通期は、売上高が前期比11.1%増の2047億円、営業利益が前期の68.78億円から▲85.55億円へ赤字転落。セメント、鉱産品、建材、新材料の4事業の寄与により増収も、石炭価格の高騰を受けてセメント事業の営業利益が▲195.42億円(前期▲23.82億円)と赤字幅拡大。 ・2024/3通期会社計画は、売上高が前期比12.4%増の2300億円、営業利益が61億円の黒字、年間配当が同横ばいの120円。セメント販売価格値上げと新材料事業の増販売を見込む。新材料事業は半導体製造装置向け電子材料向けの成長により2023/3通期で売上高が前期比49%増(216億円)、営業利益が同63%増(53億円)と業績の柱。石炭価格の世界的下落傾向も追い風だろう。 キャピタルAブルハド(CAPI) 市場:マレーシア 0.795 MYR(6/29終値) ・トニー・フェルナンデス氏が2001年に創業した「エアアジア・グループ」が22年1月に社名変更。航空事業(「エアアジア」ブランド)、物流部門、デジタル部門(エアアジア・デジタル)の3事業を営む。 ・5/31発表の2023/12期1Q(1-3月)は、総売上高が前年同期比3.1倍の25.30億MYR、EBITDAが前年同期の▲3.09億MYRから5.02億MYRへ黒字転換。新型コロナ禍前の2019/12期1Q比では売上高が88%、EBITDAが70%の水準に回復。前四半期比では、売上高が6.8%増、EBITDAが2.7%増。 ・同社はコロナ禍で大幅赤字が長期間続いたことで財務が悪化し、22年1月より取引所から速やかな財務改善が求められる警告銘柄に指定されていたなか、債務超過額が昨年末で94億MYR。年央までに公表予定の再建計画では、中長距離路線を運航する「エアアジアX」の既存の短距離路線の航空事業Gへの集約が見込まれる。加えて、航空整備事業拡大も有効な成長戦略だろう。 ■アセアン株式ウィークリーストラテジー (7/3号「シンガポール人も老後資金に不安あり」) 日本では金融庁の「市場ワーキング・グループ」報告書による試算の「老後30年間で約2千万円が不足する問題(老後2千万円問題)」が話題だ。これに対し、シンガポールでは一般に、過不足なく老後生活を送るためには約1億円相当額が必要と考えられている。多くの人は、今まで述べてきた公的制度の「CPF(中央積立基金)」とは別に、老後資金のために積み立てや運用を行っている。 シンガポールの世帯収入は日本より高いものの、物価も高いため多くのシンガポール人は共働きで高齢になっても働くのが当たり前とされる。一般的な定年は62歳だが、企業側も雇用主が従業員に対して67歳までの継続雇用を申し出る義務があり、継続雇用の従業員に対して賃金を大幅に削減することは認められない。日本企業よりも高齢になっても働きやすい環境が整っているようだ。
投資戦略ウィークリー 2023年6月19日号(2023年6月16日作成)】”1990年3月12日来高値~史上最高値から46営業日後”
■“1990年3月12日来高値~史上最高値から46営業日後” 日経平均株価は先月17日に終値で3万円を上回って21日営業日後の今月15日、1990年3月12日以来となる3万3767円まで上昇。その46営業日前の1989年12月29日に史上最高値の3万8957円を付けていた。これらの事実を結びつけると、遠くない将来に史上最高値を更新するのでは?という気持ちになっても不思議でないかもしれないが、焦って上値を追いかける買い方は禁物だろう。 他方、早めに売却して利益を出したもののその後大きく値上がりして後悔をすることも、投資を続けていれば誰もが経験しがちなことでもある。ローソク足や罫線、出来高、信用倍率などの需給関係の見方について基本的な理屈を押さえたうえで、売りと買いの勢いの変化・動向を見ていくことも投資の上では必要かもしれない。 現在の日本株買いの中心となっている海外投資家の買い要因をまとめると、第1に東証がPBR(株価純資産倍率)1倍割れの是正を要請したこと、第2に米中摩擦を背景にしたサプライチェーンの再構築に絡み、半導体を中心に日本への直接投資の流れが強まったこと、第3に賃金上昇と物価上昇の好循環に向けた期待が高まってきていることといった3つのポイントが挙げられる。これらによって、「失われた30年」からようやく日本が抜け出せるのではないかという期待が膨らんだことが大きいだろう。 東証は5月、「JPXプライム150指数」の構成銘柄および算出要領が確定したと発表。その中で国内時価総額首位のトヨタ自動車(7203)がPBR要件を満たさないために除外され、市場参加者に驚きを与えた。そのためトヨタの株価が不当に安く放置されていると見られたのか、同社株価は長電池寿命「全個体電池」搭載電気自動車(EV)投入方針を受けて13日と14日に急騰。PBR1倍を超えた。日本を代表する企業がPBR1倍に満たない場合、同1倍を意識した動きの拡がりが期待されよう。業界トップに追随してPBR1倍超えの裾野が広がることで日本株全体の株価底上げが期待される。 これからは徐々に足元の現実を意識する局面に入っていくことが考えられる。岸田首相は15日、今の国会での衆議院の解散はしない方針を表明。強い基盤の長期政権による政治の安定を求める海外投資家にとってはマイナス要因だろう。また、「賃金と物価の上昇の好循環」に関し、4月の毎月勤労統計調査では期待インフレ率を差し引いた実質賃金伸び率が前年同月比マイナス0%と春闘の恩恵がみられなかった。足元の現実と海外投資家の期待とは距離がありそうだ。「日本買い」一服後は米国株市場の動向に左右されやすい展開への回帰が考えられよう。(笹木) 6/19号では、ライト工業(1926)、ソニーグループ(6758)、ふくおかフィナンシャルグループ(8354)、名古屋鉄道(9048)、CSOP iEdge S-REIT リーダーズ指数ETF(SRT)を取り上げた。 ■主な企業決算の予定 6月19日(月):コーセル 6月20日(火): (米)フェデックス 6月21日(水): サツドラホールディングス 6月23日(金):ツルハホールディングス、(米)アクセンチュア ■主要イベントの予定 6月19日(月) ・首都圏新築分譲マンション(5月) ・米休場(奴隷解放記念日「ジューンティーンス」の祝日で)、米国務長官が訪中終えて英国に(21日まで)、金融活動作業部会(FATF)(パリ、23日まで)、中国首相がドイツとフランス訪問(18-23日)、チリ中銀政策金利、仏パリ航空ショー(25日まで) ・米NAHB住宅市場指数 (6月) 6月20日(火) ・設備稼働率(4月)、鉱工業生産(4月)、コンビニエンスストア統計(5月)、工作機械受注(5月)、株主総会(日本電産、ANAHD、デンソー、商船三井) ・米セントルイス連銀総裁・米ニューヨーク連銀総裁が講演、中国1年・5年物プライムレート(LPR) ・米住宅着工件数 (5月) 6月21日(水) ・通常国会会期末、日銀金融政策決定会合議事要旨(4月27・28日分)、日銀の安達審議委員が鹿児島県金融経済懇談会で講演・記者会見、オービーシステム・東証スタンダードに新規上場、シーユーシー・東証グロースに新規上場、株主総会(ホンダ、スバル、日立、日本郵船、ソフトバンクグループ、三井物産、フジテック)、訪日外客数(5月) ・米FRB議長が下院金融委員会で証言、米シカゴ連銀総裁が講演、インド首相が訪米スタート、ブラジル中銀政策金利、ウクライナの復興に関する会議(ロンドン、22日まで) ・欧州新車販売台数(5月)、英CPI(5月) 6月22日(木) ・日銀の野口旭審議委員が沖縄県金融経済懇談会で講演・記者会見、SMBC日興証券の相場操縦事件公判、リアルゲイトとアイデミーが東証グロースに新規上場、株主総会(NTT、三菱自、コスモエネ)、対外・対内証券投資(6月11-17日)、日銀営業毎旬報告(6月20日現在)、スーパーマーケット販売(5月)、月例経済報告(6月) ・米FRB議長が上院銀行委で証言、米クリーブランド連銀総と米リッチモンド連銀総裁が講演、インド首相が米議会で演説・公式晩さん会に出席(ワシントン)、ブルームバーグ・テクノロジー・サミット(サンフランシスコ&オンライン)、メキシコ中銀・スイス中銀・ノルウェー中銀・トルコ中銀・フィリピン中銀・インドネシア中銀の政策金利、英中銀が政策金利・議事要旨、 中国休場(端午節の祝日で、26日取引再開)、香港休場(端午節の祝日で) ・米経常収支(1Q)、米新規失業保険申請件数 (17日終了週)、米中古住宅販売件数 (5月)、米景気先行指標総合指数(5月)、ユーロ圏消費者信頼感指数 (6月) 6月23日(金) ・ARアドバンストテクノロジが東証グロースに新規上場、株主総会(みずほFG、JAL、スズキ、川崎汽船、三菱商事、伊藤忠、丸紅、住友商事)、全国CPI(5月)、auじぶん銀行日本サービス業・日本製造業・日本複合PMI(6月)、全国百貨店売上高(5月)、東京地区百貨店売上高(5月) ・米セントルイス連銀総裁講演(ダブリン)、米クリーブランド連銀総裁がイベント閉会挨拶 ・S&Pグローバル米製造業・サービス業・総合PMI(6月)、S&PグローバルHCOBユーロ圏製造業・サービス業・総合PMI(6月) (Bloombergをもとにフィリップ証券作成) ※本レポートは当社が取り扱っていない銘柄を含んでいます。 ■米短期国債大量発行と米国株 米政府の債務上限停止でデフォルトが回避されたことで米財務省は年内に1兆ドル規模の短期国債発行を見込んでいる。財務省の指針によれば現金残高を6月末までに4250億ドル、9月末までに6000億ドルまで戻すとされる。MMF(マネー・マーケット・ファンド)などの買い手が想定されるものの、保険で守られない25万ドル超の大口の銀行預金から大型ハイテク株に逃避していたとみられる資金が政府に吸い上げられる懸念も出てくる。 ナスダック総合指数と政府現金残高との相関関係を見ると、過去3年間では昨年の5-12月を除くと逆相関の関係がみられる。現在の財務省現金残高は21年12月近辺と同水準だ。米短期国債大量発行による政府現金残高の増加は大型ハイテク株売りに繋がる可能性があろう。 【米短期国債大量発行と米国株~米財務省現金残とナスダック逆相関傾向】 ■ドル円相場と円売りポジション ドル円相場は。米国14日のFOMC(公開市場委員会)で利上げ停止も年内2回分の利上げ見通しが示されたことを受けて15日に1ドル141円台へ、16日に日銀金融政策決定会合の発表を受けて同142円台へと円安が進行した。6/7時点でのIMM(シカゴ通貨先物市場)の投機筋(非商業)ポジションの売り越し枚数は前週比8624枚の増加で10万4817枚と、10/25以来の10万枚超えとなった。 現在の円売りポジションは一時1ドル150円を超える円安ドル高となった10/21を含む週と同程度の円売りポジションが膨らんでいることを意味する。過去10年間の円売りポジションの最大枚数は2013年12月最終週の14万3822枚であり、ポジションの観点からは現在以上に円売りを増やす余地が限られる面もあろう。 【ドル円相場と円売りポジション~投機筋円売りポジション枚数は足元膨らむ】 ■アップルのMRヘッドセットが登場 米アップル(AAPL)が6/5、開発者向け会議「WWDC 2023」でウェアラブルのMR(複合現実)ヘッドセットである「Vision Pro」を発表。高価格だが、ティム・クックCEOは「Vision Proh空間コンピューティング技術を世に紹介するだろう」と、iPhoneがモバイル・コンピューティングを浸透させたことを彷彿させる熱の入れようだ。 その部品で重要な位置を占めるマイクロ有機EL(OLED)ディスプレイをソニーG(6758)が受注。また、Vision Proが任天堂(7974)関連のテーマパークで使われているARヘッドセットと関わる可能性も出てきた。両社はゲーム業界で覇を競うライバルだが、Vision Proで接点を持つ可能性もありそうだ。両社の株価は、半導体関連の人気銘柄と比較して出遅れとして見直される余地もあろう。 【アップルのMRヘッドセットが登場~競合のソニーと任天堂に接点の可能性】 ■銘柄ピックアップ ライト工業(1926) 1,921 円(6/16終値) ・1948年に仙台市で設立。技術力に定評がある専業土木工事(斜面・法面対策工事、基礎・地盤改良工事、補修・補強工事、環境修復工事)、一般土木工事、および建築・その他工事を営む。 ・5/11発表の2023/3通期は、売上高が前期比5.0%増の1149億円、営業利益が同3.4%減の127億円。防災・減災、国土強靭化やインフラ老朽対策など高水準の政府建設投資を受け、受注高は同7.3%増の1179億円。利益面では減価償却費増と資機材価格高騰、人件費増が響き営業減益。 ・2024/3通期会社計画は、売上高が前期比2.6%増の1180億円、営業利益が同3.2%増の132億円、年間配当が同3円増配の64円。防災・減災、国土強靭化中心の予算執行が見込まれる。気象庁は9日、南米ペルー沖の海面水温が高くなり、世界的な異常気象の原因とされる「エルニーニョ現象」が発生したとみられると発表。温暖化も加わることで異常気象が発生しやすい面があろう。 ソニーグループ(6758) 13,765 円(6/16終値) ・1946年に東京通信工業として設立。ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)、音楽、映画、エンタテイメント・テクノロジー&サービス(ET&S)、イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)、金融およびその他事業から構成。 ・4/28発表の2023/3通期は、売上高が前期比16.3%増の11兆5398億円、営業利益が同0.5%増の1兆2082億円。G&NSが同32%増収、音楽が同24%増収、映画が同10%増収、ET&Sが同6%増収、I&SSが同31%増収、金融が同6%減収。音楽、I&SS、金融の3事業セグメントが営業増益。 ・2024/3通期会社計画は、売上高および金融ビジネス収入が前期比0.3%減の11兆5000億円、営業利益が同3.2%減の1兆1700億円。ゲーム機「PS5」の販売伸びを見込む。企業価値向上の目指し金融事業子会社の分離上場を検討開始。米アップルが開発者会議で発表したMRヘッドセット「VisionPro」で重要な位置を占める部品(マイクロ有機EL(OLED)ディスプレイ)を同社が受注した。 ふくおかフィナンシャルグループ(8354) 2,815 円(6/16終値) ・2007年に福岡銀行と熊本ファミリー銀行(現在は熊本銀行に改称)の統合により設立。同年に親和銀行を経営統合。2019年に十八銀行を経営統合後、2020年に長崎県で十八親和銀行を発足。 ・5/12発表の2023/3通期は、3行単体合算コア業務純益が前期比8.5%増の1058億円、信用コストが同86%増の58億円、当期利益が同43.5%減の311億円。資金利益や役務取引等利益の増加および経費減少でコア業務純益増加も、有価証券ポートフォリオ再構築に伴う損失計上が響き減益。 ・2024/3通期会社計画(3行単体合算ベース)は、コア業務利益が前期比3.9%増の1100億円、経常利益が同59.6%増の1100億円、年間配当が同10円増配の115円。世界最大の半導体ファウンドリ台湾TSMCが熊本へ工場進出。関連サプライヤー集積もあり追い風を期待。モバイル専業銀行「みんなの銀行」3月末の12月末比は、口座数が16%増、預金残が9%増、貸出残が43%増と堅調。 名古屋鉄道(9048) 2,342 円(6/16終値) ・1921年設立の中部地方を地盤とする私鉄大手。交通(鉄道・バス・タクシー)事業のほか、運送、不動産、レジャー・サービス(ホテル・「明治村」他)、流通、航空関連サービスなど各事業を営む。 ・5/11発表の2023/3通期は、営業収益が前期比12.3%増の5515億円、営業利益が前期29億円から227億円へ拡大。事業別営業収益は、交通事業が同15%増の1324億円、運送事業が同2%増の1369億円、不動産事業が同8%増の969億円、レジャー・サービス事業が同70%増の810億円。 ・2024/3通期会社計画は、売上高が前期比6.6%増の5880億円、営業利益が同16.6%増の265億円、年間配当が同5円増配の25円。今年3月、米タイム誌が2023年度版「世界の最も素晴らしい場所」を発表。世界各地の50の観光地が選ばれた中で日本からは京都とともに名古屋が選出。スタジオジブリのテーマパーク「ジブリパーク」と知多市の「サントリー知多蒸留所」がピックアップされた。 CSOP iEdge S-REIT リーダーズ指数ETF(SRT) 市場:シンガポール 0.856 SGD(6/15終値) ・SGX上場のリート(S-REIT)の内、流動性・浮動株比率・浮動株時価総額上位銘柄から構成の「iEdge S-REITリーダーズ指数」の価格および費用控除前利回りに概ね連動する投資成果を目指す。 ・6/5終値基準での同指数の予想分配金利回りは6.1%と、シンガポール株のST株価指数の予想配当利回り5.2%、東証リート指数の予想分配金利回り4.05%を上回る。市場予想のシンガポールCPI上昇率が25年にかけて低下に対し、賃料の遅行性から同指数予想分配金利回りは上昇見通し。 ・同指数を構成するS-REITのセクターは、物流と倉庫を含む「産業施設」、「オフィス」、「商業施設」、「データセンター」、「ヘルスケア」、「ホテル/ホスピタリティ」等多岐にわたり、分散投資効果による価格変動性の低下が期待される。また、同指数を構成するS-REITが投資する不動産所在地はシンガポールに限定されず豪州、米国、中国本土、英国に及び、投資機会に恵まれている点も魅力だ。 ■アセアン株式ウィークリーストラテジー (6/19号「シンガポールの中央積立基金(CPF)④」) 前回、CPFの積立金運用に関する利回りが保証され、口座種類ごとに異なると述べた。普通口座では、大手地場銀行の3ヵ月平均預金金利または2.5%のいずれか高い金利が支払われる。特別口座とメディセイブ口座では、10年物シンガポール政府債の12ヵ月平均利回りに1%を加えた金利または4%のいずれか高い方が支払われる。退職口座では、10年物シンガポール政府債の12ヵ月平均利回りプラス1%、または4%のいずれか高い方が支払われる。 積立金のうち、6万SGD(内、普通口座は2万SGD)を上限として1%金利が追加で支払われる。更に、55歳以上の加入者を対象として、3万SGD(内、普通口座は2万SGD)を上限として1%金利が上乗せされる。つまり、保証される最高金利は普通口座で4.5%、その他口座で6%の水準に上る。
投資戦略ウィークリー 2023年5月1日号(2023年4月28日作成)】”大型連休イベント相次ぐ、コロナ5類、低PBR対策多様化 ”
■“大型連休イベント相次ぐ、コロナ5類、低PBR対策多様化 日本株相場は、25日は東証プライム市場の売買代金が2兆0507億円と薄商いとなるなど、ゴールデンウィークの連休を直前に控えて動きがとりにくい週だったようだ。来月5月の連休中には、3日に米FOMC(連邦公開市場委員会)、声明発表、4日に欧州中央銀行理事会(ECB)の政策金利発表と続き、5日には4月の米国雇用統計が発表される。昨年9月より大阪取引所の日経平均先物取引が日本の祝日でも取引ができるようになったことで、祝日に相場を大きく動かすようなイベントが発生しても対応できるようになった点は進歩と言えるかもしれない。 そのような中でも、米国の地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)の預金流出が明らかになり、日経平均株価が27日の寄り付き直後に2万8241円まで25日の高値から560円下落する局面があったものの、底堅く推移した。海外市場でメタ・プラットフォームズ(META)の1-3月期決算が好調だったことから買いが広がり、28日の植田新総裁の下での最初の日銀金融政策決定会合が緩和政策継続で円安基調が戻りつつあることから、日経平均株価は週末に向けて年初来高値を更新する展開となった。ゴールデンウィークということで、訪日外国客のインバウンド消費関連が注目されやすかったことも日本株相場を支えた要因と言えそうだ。厚生労働省が27日、新型コロナの感染症法上の位置づけについて5/8に季節性インフルエンザなどと同じ5類に移行することを正式に決定。ホテル運営や空運・電鉄株などが賑わった。 東証の要請に基づく低PBR(株価純資産倍率)改善のための株主還元策などの施策への期待は決算発表を通じて高まる可能性があるだろう。英投資ファンドが大手ゼネコンの大林組(1802)に株主還元強化に係る株主提案を行ったこと、および仏投資会社のロンシャン・SICAVが準大手ゼネコンの戸田建設(1860)に自社株買いの株主提案を行ったことが明らかとなった。決算発表による直近の財務状況を踏まえての株主総会までの間が「物言う株主」のアクティビストにとって活動しやすい期間と言えそうだ。また、清水建設(1803)も200億円を上限とする自社株買いを発表。清水建設は道路舗装大手である日本道路(1884)といった上場子会社を擁しているように、低PBRの親会社が同じく低PBRの上場子会社を擁している場合が多くみられる。株主還元策の強化にとどまらず、中核事業子会社のTOBによる完全子会社化と非中核事業の売却といった資本再編の動きも低PBR解消に向けた動きの一環として多くの企業に広がっていく可能性もあるだろう。親子上場による上場子会社の動きからも目が離せないだろう。(笹木) 5/1・8号では、石光商事(2750)、ロコンド(3558)、コプロ・ホールディングス(7059)、スズキ(7269)、シェン・ション・グループ(SSG) を取り上げた。 ■主な企業決算の予定 5月1日(月):イビデン、大塚商会、(米)NXPセミコンダクターズ、バーテックス・ファーマシューティカルズ 5月2日(火): 三井物産、日本航空、日本たばこ産業、双日、(米)スターバックス、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、ダイヤモンドバック・エナジー、フォード・モーター、ファイザー、マリオット・インターナショナル(メリーランド)、アイデックスラボラトリーズ 5月3日(水): (米)クアルコム、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、アンシス、メットライフ、メルカドリブレ、エマソン・エレクトリック、クラフト・ハインツ、ベリスク・アナリティクス、エクセロン、CVSヘルス 5月4日(木): (米)マイクロチップ・テクノロジー、フォーティネット、アトラシアン、モンスター・ビバレッジ、アップル、ブッキング・ホールディングス、アメリカン・エレクトリック・パワー、コノコフィリップス、データドッグ、リジェネロン・ファーマシューティカルズ、モデルナ、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG) 5月5日(金):(米)ワーナーブラザース・ディスカバリー 5月8日(月):HOYA、JFEHD、ヒロセ電機、ブラザー工業、マルハニチロ、ヤマダHD、ユニ・チャーム、リコー、リンテック、丸紅、川崎汽船、大阪ガス、(米)ルーシッド・グループ、ペイパル・HD 5月9日(火): FOOD & LIFE COMPANIES、IHI、JMDC、TIS、オートバックスセブン、カルビー、ダイキン工業、ツムラ、ニチレイ、ニトリHD、ネットワンシステムズ、ファンケル、ユー・エス・エス、ライオン、ローム、伊藤忠商事、横河電機、丸井グループ、江崎グリコ、三越伊勢丹HD、三菱自動車工業、三菱商事、住友商事、出光興産、全国保証、太陽誘電、長瀬産業、日本精工、日本郵船、任天堂、(米)エレクトロニック・アーツ、リビアン・オートモーティブ、エアビーアンドビー、グローバルファウンドリーズ、デューク・エナジー 5月10日(水): DMG森精機、INPEX、NOK、SCREENHD、アシックス、エア・ウォーター、オリックス、カカクコム、カプコン、ケーズHD、ショーボンドHD、ソフトバンク、ディー・エヌ・エー、デクセリアルズ、トヨタ自動車、パイロットコーポレーション、ハウス食品グループ本社、パナソニックHD、パン・パシフィック・インター、バンダイナムコホールディング、ほくほくフィナンシャルグループ、ホシザキ、ヤオコー、ヤマトHD、リンナイ、旭化成、塩野義製薬、科研製薬、花王、京浜急行電鉄、協和キリン、群馬銀行、三井金属鉱業、三井不動産、三菱重工業、山九、住友金属鉱山、小野薬品工業、小林製薬、川崎重工業、電源開発、島津製作所、東急不動産HD、日清食品HD、日清製粉グループ本社、日本ハム、日本製鉄、不二製油グループ本社、富士フイルムHD、(米)ウォルト・ディズニー・カンパニー 5月11日(木):ENEOSHD、FUJI、GMO インターネットグループ、GMOペイメントゲートウェイ、JCRファーマ、PALTAC、SANKYO、SUBARU、SUMCO、TOYO TIRE、アコム、インフロニア・ホールディング、ウシオ電機、エヌ・ティ・ティ・データ、オークマ、カシオ計算機、カドカワ、ガンホー・オンライン・エンターテイメント、キリンHD、コーセー、コスモエネルギーHD、コナミグループ、コムシスHD、サッポロHD、サワイグループホールディング、サントリー食品インターナショ、ジーエス・ユアサ コーポレーション、しずおかフィナンシャルグルー、シスメックス、シャープ、セコム、ソフトバンクグループ、ダイセル、デンカ、トレンドマイクロ、ニコン、ニプロ、ネクソン、ピジョン、フジ・メディア・HD、ベネフィット・ワン、ペプチドリーム、ミネベアミツミ、メイテック、リログループ、関西ペイント、丸一鋼管、京阪HD、九州フィナンシャルグループ、九州旅客鉄道、栗田工業、古河電気工業、三菱地所、参天製薬、住友大阪セメント、住友不動産、森永製菓、神戸製鋼所、清水建設、西松建設、西日本鉄道、西武HD、太平洋セメント、大正製薬HD、大林組、帝人、東海カーボン、東急、東京エレクトロン、東京応化工業、東京建物、東洋紡、日揮HD、日産自動車、日清紡HD、日本テレビHD、日本空港ビルデング、日本酸素HD、日油、博報堂DYHD、浜松ホトニクス、武田薬品工業、宝HD、本田技研工業、味の素、名古屋鉄道、明治HD、(米)JDドットコム 5月12日(金):ADEKA、AGC、DOWAHD、H.U.グループHD、NIPPON EXPRESSホールディング、NTN、SBIHD、SBI新生銀行、TBSHD、UBE、アサヒグループHD、アズビル、アズワン、アマダ、アリアケジャパン、アルバック、いすゞ自動車、いよぎんHD、インターネットイニシアティブ、エクシオグループ、オリンパス、カネカ、クボタ、クラレ、ゴールドウイン、コカ・コーラ ボトラーズジャパ、コロワイド、コンコルディア・フィナンシャルグループ、サンリオ、シップヘルスケアHD、ジャストシステム、スクウェア・エニックス・HD、セイノーHD、セブン銀行、ゼンショーHD、ダイフク、トプコン、ニッコンHD、ニッスイ、ニフコ、ひろぎんHD、ふくおかフィナンシャルグループ、フジクラ、フジテック、ベネッセHD、マツキヨココカラ&カンパニー、マツダ、メディパルHD、めぶきフィナンシャルグループ、ヤクルト本社、ラクス、りそなHD、レンゴー、ロート製薬、ワコールHD、横浜ゴム、王子HD、楽天グループ、京王電鉄、京都銀行、五洋建設、三井化学、三井住友トラスト・ホールディ、三浦工業、三菱ケミカルグループ、三菱マテリアル、三菱瓦斯化学、山口フィナンシャルグループ、資生堂、住友重機械工業、住友電気工業、上組、綜合警備保障、大王製紙、大成建設、大塚HD、大日本印刷、大和ハウス工業、長谷工コーポレーション、東ソー、東レ、東京センチュリー、東芝、東芝、東邦HD、東洋水産、東洋製罐グループHD、凸版印刷、日本触媒、日本製鋼所、日本電子、日本電信電話、堀場製作所 ■主要イベントの予定 5月1日(月) ・auじぶん銀行日本製造業PMI(4月)、消費者態度指数(4月) ・メーデーの祝日で欧州や英国・香港など休場、労働節の祝日で中国休場(3日まで) ・S&Pグローバル・米製造業PMI(4月)、米建設支出(3月)、米ISM製造業景況指数(4月) 5月2日(火) ・国内ユニクロ売上推移速報(4月)、マネタリーベース(4月)、日銀営業毎旬報告(4/30現在) ・米FOMC(3日まで)、豪中銀政策金利発表、ECBのユーロ圏銀行融資調査、アジア開発銀行年次総会(5日まで、韓国・仁川) ・米自動車販売(4月)、米求人件数(3月)、米製造業受注(3月)、ユーロ圏マネーサプライ(3月)、S&Pグローバル・ユーロ圏製造業PMI(4月)、ユーロ圏CPI(4月)、香港GDP(1Q) 5月3日(水) ・米FOMC声明発表・FRB議長記者会見、ブラジル中銀とマレーシア中銀が政策金利発表 ・米ADP雇用統計(4月)、S&Pグローバル・米サービス・コンポジットPMI(4月)、米ISM非製造業総合景況指数(4月)、ユーロ圏失業率(3月) 5月4日(木) ・ECB政策金利発表・総裁記者会見、EU外相理事会(開発、ブリュッセル)、英地方選 ・米新規失業保険申請件数(4/29終了週)、米貿易収支(3月)、S&Pグローバル・ユーロ圏サービス業・総合PMI(4月)、ユーロ圏PPI(3月)、中国財新製造業PMI(4月) 5月5日(金) ・米セントルイス連銀総裁講演、ECB専門家予測調査 ・米雇用統計(4月)、米消費者信用残高(3月)、ユーロ圏小売売上高(3月)、独製造業受注(3月)、中国財新コンポジット・サービス業PMI(4月) 5月6-7日(土・日) ・英チャールズ国王戴冠式 5月8日(月) ・新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類へ移行、日銀金融政策決定会合議事要旨(3月9・10日分)、auじぶん銀行日本サービス業・複合PMI(4月) ・米卸売在庫 (3月)、独鉱工業生産 (3月) 5月9日(火) ・実質賃金総額・ 毎月勤労統計-現金給与総額・家計支出(3月) ・ASEAN首脳会議・関連会合(11日まで、インドネシア・ラブハンバジョ) ・中国貿易収支 (4月、10日までに発表)、中国経済全体のファイナンス規模・新規融資、マネーサプライ(4月、16日までに発表) 5月10日(水) ・景気一致指数・景気先行CI指数(3月) ・ポーランド中銀政策金利発表 ・米CPI (4月)、米財政収支 (4月)、独CPI(4月) 5月11日(木): ・G7財務相・中央銀行総裁会議(13日まで、新潟市)、日銀金融政策決定会合における主な意見(4月27・28日分)、国際収支:経常収支 (3月)・貿易収支 (3月)、銀行貸出動向 (4月)、 対外・対内証券投資(4月23-29日、4月30日-5月6日)、 東京オフィス空室率 (4月)、景気ウォッチャー調査 先行き判断・現状判断(季調済) (4月) ・ペルー中銀と英中銀が政策金利発表、OPEC月報、ITEX2023(12日まで、クアラルンプール) ・米新規失業保険申請件数 (5月6日終了週)、米PPI (4月)、英GDP (1Q)、英鉱工業生産 (3月)、中国CPI・PPI (4月)、フィリピンGDP (1Q) 5月12日(金): ・マネーストックM2・M3(4月)、日銀 営業毎旬報告(5月10日現在) ・米FRBのジェファーソン理事とセントルイス連銀総裁、パネル討論会に参加、 チリ中銀が政策金利発表 ・米輸入物価指数 (4月)、米ミシガン大学消費者マインド指数・速報値 (5月)、マレーシアGDP (1Q)、香港GDP (1Q) 5月13-14日(土・日): ・独ブレーメン州議会選挙、トルコ議会選挙・大統領選挙(決選投票は28日)、タイ総選挙 (Bloombergをもとにフィリップ証券作成) ※本レポートは当社が取り扱っていない銘柄を含んでいます。 ■米国決算発表から窺われる傾向 米国主要企業の23年1-3月期決算発表も半ばに差し掛かった。メタ・プラットフォームズ(META)は以前より「今年は効率性を重視」と利益率改善に舵を切る中で収益面でも改善。航空機タービン事業への選択と集中に取り組むGE(GE)も航空機需要が追い風だ。供給網の課題から航空機製造のボーイング(BA)よりも補修に対応できる部品メーカーの方が優位性がある。マクドナルド(MCD)やペプシコ(PEP)、コカコーラ(KO)は価格転嫁で優位だろう。インテュイティブ・サージカル(ISRG)やアボット・ラボラトリーズ(ABT)といった医療機器メーカーは不要不急と後回しだった治療・手術の繰延需要が追い風だ。一方でテスラ(TSLA)は電気自動車(EV)の積極的値下げに伴い利益率悪化。他の自動車メーカーも影響を受けている。 【米国決算発表から窺われる傾向~自動車会社を除けば概ね堅調が多い】 ■シンガポールの代表的な銀行株 シンガポールで時価総額首位の銀行を擁するDBSホールディングスは、22年10-12月期の預貸利鞘の純金利マージン(NIM)が2.61%、営業収益に対する営業費用比率(経費率)が42.8%とバランスが取れている。米商業銀首位JPモルガン・チェース(JPM)は23年1-3月で非市場部門NIMが3.80%と高いものの経費率は51%。日本で銀行首位の三菱UFJフィナンシャルG(8306)は、22年4-12月の預貸金利回差が0.73%、営業費の連結業務粗利益に対する比率は61.4%。 2018年初以降の株価推移をみても、価格変動性が相対的に小さい中で上昇傾向。円建てではシンガポールの自国通貨購買力と労働者貯蓄価値重視の金融政策の基本方針を受けたシンガポールドル高傾向からの恩恵も見られる。 【シンガポールの代表的な銀行株~円建てでは為替安定度合いで更に魅力】 ■高配当株の優位性は続きそう? 日経平均株価の構成銘柄のうち配当利回りの高い50銘柄で算出される「日経平均高配当株50指数」の推移を日経平均株価と比較すると、21年後半以降はバリュー株優位の物色傾向を受けて日経平均をパフォーマンスで上回りその傾向が加速している。その要因としてはバリュー株重視という以外にも、高配当利回り銘柄の配当金額が増加する中で配当金の再投資先としても高配当利回り銘柄が選定されやすいことも挙げられよう。 その他にも、岸田政権が設立した10兆円規模の大学ファンドは運用目標が4.38%とされるなか、配当利回りに着目した運用が行われやすいだろう。また、クレディスイスの永久劣後債(AT1債)が無価値となるなど高利回り債券のリスクの認識も高配当利回り株の選好を高めよう。 【高配当株の優位性は続きそう?~日経平均高配当株50指数の動向に注目】 ■銘柄ピックアップ 石光商事(2750) 725 円(4/28終値) 東証スタンダード上場 ・1906年に石光季男が単身渡米しロサンゼルスで創業。コーヒー輸入・販売を主力とする飲料・食品輸入商社であり、老舗のコーヒー生豆商社として業務用では国内市場シェア首位を誇る。 ・2/10発表の2023/3期9M(4‐12月)は、売上高が前年同期比27.6%増の445.04億円、営業利益が同43.2%増の11.99億円。セグメント別売上高はコーヒー・飲料事業が同35%増の171.34億円、食品事業が同20%増の205.84億円、食品輸出に係る海外事業が同34%増の67.85億円と伸長した。 ・通期会社計画は、売上高が前期比25.0%増の584億円、営業利益が同2.2倍の15.04億円。年間配当金を同10円増配の24円。飲食店向け高級コーヒー豆(アラビカ種)が最大輸出国ブラジルの不作やコロナ禍収束に伴う世界的なコーヒー需要の高まりで21年より国際価格が高騰。インスタントコーヒー向けの安価なロブスタ種でも代替需要が高まるなか、輸出国ブラジルで農家が減少傾向。 ロコンド(3558) 1,792 円(4/28終値) 東証グロース上場 ・2010年設立で靴を中心とした通販サイト「LOCONDO.jp」を運営。同サイト運営のECモール事業、IT・物流インフラ等を共有・活用のプラットフォーム事業、ブランド運営を行うブランド事業を展開。 ・4/14発表の2023/2通期は、売上高が104.64億円(連結決算導入前前期:98.75億円)、EBITDA(償却前営業利益)が11.69億円(同:10.37億円)。商品取扱高が236.29億円(同:212.17億円)。3Q(9-11月)より伊藤忠商事(8001)との共同出資で有名ブランドReebok国内販売権を獲得し事業展開。 ・2024/2通期会社計画は、売上高が前期比33.8%増の140億円、営業利益が同76.5%増の17.50億円。ECモール事業で自社モールでのReebok商品販売、プラットフォーム次号で公式ECサイト運営、更にブランド事業で実店舗および卸売り販売を手掛けられるなどReebokは同社の主要3事業すべてに寄与し得る。ファッションECモールでZOZOTOWNの牙城を崩す強力な切り札となり得よう。 コプロ・ホールディングス(7059) 1,450 円(4/28終値) ・2006年に名古屋市で設立の技術者派遣事業会社。建設・プラント技術者派遣・紹介、機械設計開発技術者派遣・請負、SES(システム・エンジニアリング・サービス)の3事業サービスを展開。 ・2/13発表の2023/3期9M(4-12月)は、売上高が前年同期比18.7%増の135.84億円、営業利益が同23.1%減8.62億円。建設技術者派遣・紹介における技術者採用数の増加に加え、機械設計開発技術者派遣会社およびSES会社の連結子会社化により技術者数が同28%増の2824人に拡大。 ・通期会社計画は、売上高が前期比17.9%増の183.80億円、営業利益が同25.7%減の12.04億円、年間配当が同横ばいの40円。同社は主力の建設業界向け人材派遣でスーパーゼネコン5社が売上構成比の25%を占めている。時間外労働規制強化による人手不足の「2024年問題」を好機と捉え、建築図面・現場アプリ「SPIDERPLUS」開発販売のスパイダープラス(4192)と業務提携。 スズキ(7269) 4,699 円(4/28終値) ・1909年に浜松市で鈴木式織機製作所を創業。四輪車、二輪車、船外機および電動車いす他の製造販売を主に営む。国内で軽自動車2強、二輪3位。インドで四輪で市場シェア4割強を占める。 ・2/7発表の2023/3期9M(4-12月)は、売上高が前年同期比32.6%増の3兆4128億円、営業利益が同82.0%増の2669億円。主力の四輪事業は、売上高が同31.9%増の3兆0493億円、セグメント利益が同82.5%増の2110億円。世界販売台数が同13%増、半分を占めるインドは同26%増だった。 ・通期会社計画を上方修正。売上高は前期比26.1%増の4兆5000億円で据え置きも、営業利益を同61.9%増の3100億円(同2900億円)とした。年間配当は未定。26日発表のインド子会社マルチ・スズキ・インディアの1-3月期は純利益が42%増。同社は今年中に中国を抜いて人口世界一になるとみられるインドで「5割シェア奪還&EV投資」を年初に掲げた。インドでの生産能力倍増を検討中。 シェン・ション・グループ(SSG) 市場:シンガポール 1. 77 SGD(4/27終値) ・1985年設立のシンガポール小売業者で幅広い生鮮食品に加え包装・加工・冷凍・保存食品まで「ウエットとドライ」を扱う。国内64店舗、中国昆明で4店舗の他「シェン・ション・オンライン」を展開。 ・2/27発表の2022/12通期は、売上高が前期比2.2%減の13.39億SGD、当期利益が同0.4%増の1.33億SGD。新規店舗5店オープンも新型コロナ感染拡大時の巣ごもり需要からの行動規制正常化の影響で既存店売上高が減少。利益面では製品ミックス改善もあり粗利益率が同0.7ポイント改善。 ・2022/12期7-12月期は、売上高が前年同期比3.7%減の6.62億SGD、純利益が同1.3%減の66.1百万SGD。粗利益率は同0.1ポイント上昇も、一般管理費と営業費用の増加が響いた。特に営業費用については新たなリース物件取得に伴う減価償却費の増加に加え、人件費についてはシンガポールで昨年9/1から適用された「漸進的賃金モデル(PWM)」により人件費に占める固定費率が上昇。 ■アセアン株式ウィークリーストラテジー (5/1号「シンガポールの『漸進的賃金モデル』とは」 シンガポールで昨年9月より導入された「漸進的賃金モデル(PWM:プログレシブ・ウエイジ・モデル)」とは、労働集約型で、職場で体系的な教育研修が十分に実施されておらず、結果的に賃金が比較的低く抑えられている業種について、シンガポール国籍および永住権を有する従業員の教育研修の実施と賃金の上昇を合わせて義務付けて、労働生産性の向上を目指す制度。 小売業では5つの職能の各々の段階において所定の労働力技能資格の研修コースのうち最低1つを受講させるとともに、下位3段階の職能について最低賃金を遵守することが義務付けられる。国策による生産性向上への取組みにより企業は足元で人件費上昇による利益率低下の懸念も、将来的な生産性向上で吸収できよう。賃金上昇が課題とされる日本も参考にすべき政策だろう。





